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思索 電子回路 論評等 byホロン commux@mail.goo.ne.jp

定電流負荷の動作点の妙

2010-03-05 16:10:21 | 電子回路
アイドリング時において、Q3のICはひたすら1mAの定電流を流しています。この時、左図のようにRLを介してコレクタにVLを繋ぎました。RLの値はまあ1kΩ程度にしておきましょう。さてどうなるか。1mAの定電流はQ2、Q3を流れるだけでRLには流れないので、Q3のVCはVLと同電圧になります。VL=5VならQ3のVC=5V、VL=7VならVC=7V、VL=3VならVC=3Vです。定電流負荷の動作点はこのように外部から定められます。

ここでVL=VC=7Vとして、Q3のベースに信号電圧を入力してみましょう。

ベースにプラス電圧が入力されたとき、Q3のICの増加電流が2mAとすると、その増加分はすべてRL(1kΩ)から供給されQ3のIC=3mA、VC=5Vとなります。Q2のICはもちろん1mAです。ベースにマイナス電圧が入力されたとき、Q3のICの減少電流が0.3mAとすると、その減少分はすべてRL(1kΩ)に流れQ3のIC=0.7mA、VC=7.3Vとなります。Q2のICはもちろん1mAです。

どうです?電流の動きが見えましたか?そして実際には右図のように2段目(Q4)を接続して非常に大きなゲインを得、またQ4のコレクタ電位を-15Vにとれば出力電圧が+15V~-15Vの範囲でスイングすることになります。回路を見やすくするためにQ4のコレクタ負荷を抵抗RCにしましたが、初段でせっかく無限大のゲインを確保したのに、2段目のゲインはRC/100でしかありません。これでは意味がありませんので、Q4の負荷も必ず定電流負荷にするのです。

しかし、ゲインが無限大の増幅回路などどうやって使うんだ?使いようが無いんじゃない?と思われますよね。しかし、この回路が実はオペアンプの内部に使われていて、それ故、オペアンプはあのように裸ゲインが大きく(110~120dB)、高速に動作するのです。つまり、ここにオペアンプの核心部があると言えるでしょう。もう少し言葉を添えると、ゲインが無限大の増幅器は負帰還(ネガティブフィードバック)によって、目的のゲインを得るのです。(反転増幅回路、非反転増幅回路、等)

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