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悲しい日中関係悪化

2012-09-29 12:28:17 | 日記・エッセイ・コラム

 現代作家で最も世界的に人気の高い村上春樹さんが、今度の日中関係悪化について嘆息ながら冷静に分析している記事を読みました。村上さんは多くの読者を惹き付けた『ノルウェイの森』の作家として知られ、世界各国で翻訳され、読者を惹き付ける作家でもあります。

 ほとんどの店頭には平積みといわれるほど村上さんの本が並んでいるのですが、今回の対立で中国は日本のあらゆる本を撤去したのです。

 ところが不思議なことに、最近はまた店頭に並ぶようになったというニュースを知りました。何でも「上からの指示で」ということですが、どこからの指示かははっきりしません。

 冷静な中国人の支持は根強く、騒動と関係ないという考えを知るだけに、店頭から日本の作品が消えるのは残念な思いがします。店長の指示ではなく、国家的指示の強さではないかと想像します。うがった見方でしょうか。

 この騒動で両国は、多くのことを失ったかもしれません。ことに文化や芸術の分野まで中国政府は規制しただけに、イデオロギーの統制国家とはいえ、今の情報化社会のグローバル化にあって人々はどこまで忍従できるのか疑問です。

 村上さんは寄稿記事の中で、いささかショックを受けたといわれていますが、同時に世界の人々が愛読している現実を文化の交換という意味で「我々はたとえ話す言葉が違っても、基本的には感情や感動を共有しあえる人間同士なのだ」といわれています。そこには国境を越えた人間としての豊かな感情が流れているととれます。

 今回の一連の騒動は、長い間培ってきた地道な努力を破壊していくのではないかと危惧されています。また中国側の行動に対して日本は自制的であってほしいともいわれています。一部の政治関係者や評論家の先鋭的な言動は、多くの人々が望んでいることではない、とぼくも思っています。

 互いに闘争心をむき出しにすれば、誰が得をするのでしょうか。今日本は政権の変化の可否を迎えています。リーダーたちは熱気を持って日本を作ろうと意気込んでいますが、その言葉の一つ一つに危険な因子が含んでいることを自らに問うてほしい気がします。

 争うことや煽動する言葉は、決して平穏な社会を生み出しませんから。

やさしいタイガー


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