「ほら、社会勉強になるから行くよ!」
連れて行かれたのはオカマバー。実は朝からOL時代の同期会で渋谷に出かけ、夜は夜で息子の幼稚園時代のママが遠方から出てくるというので、旧交を温めた飲み会での帰り道。体力に自信は無いものの、“オカマ”と“社会勉強”の二文字はとても魅力的でした。
タクシーを降りたところは野毛。「ドレミの部屋」と書かれた怪しい看板。
どんな美しいオカマさんに会えるか楽しみに店のドアを開けると、「いらっしゃ~い」と、ごっつい男性が二人、くるりと振り返った。
「もうや~だ、この女!ホント、迷惑なんだから~。もう、来なくっていいって言ったのよ!店が込んでいるのに座り込んで帰らないんだから。ホント、め~わく。」
友人の店でのいつぞやの振る舞いを、にっこにこしながらもぺらぺらとまくし立てている。
ドレミちゃんの正体がこの60前後のおじさんだったかとまん丸目玉の私を店の奥に通し、てきぱきとお通しを出してくれる。お手拭をさっと手渡し、糠漬けに茶碗蒸し、ハラス。お通しでお目にかからないようなものが多い。
「あ~、鮭だ。美味しそう。」と言う私に、
「あら、これ、ハ・ラ・スって言うのよ。お高いのよ。知らないの?」(それくらい知っている!!)
糠漬けは、きゅうり、ナス、人参は勿論、長芋、ピーマンまである。
ドレミちゃん:「何と言っても、材料が1番よ!ナスなんか悪いと切った途端、す~ぐ茶色になっちゃうんだから。これ全部私が漬けるのよぉ。たまねぎも美味しいわ。あーたどのくらいかき回すの?」
私:「朝と夜に、ささっとです。」と小さく言うと、
ドレミちゃん:「駄目よ!5分よ、5分!」
私:「え~!?そんなに回すと味も良くなるんですか?」
ドレミちゃん:「当ったり前よ。演歌1曲歌えばすぐよ、すぐ。この糠床なんて20年以上も使っているのよ。」
知らなかった。5分もかき回すなんて。
それにしても、糠漬けにしても茶碗蒸しにしても、とても美味しい。これ全部、ドレミちゃんとひかるちゃん(もう一人のオカマさん。頭がピカピカだから?)が作ったのか~、と感激してしまう。
さて、このドレミちゃん。人間洞察もするどい。女4人で行ったのですが、酔って話の腰を折る友人に、「あんた、人の話を聞きなさいよ。あんたみたいなのは自分が一番好・き・な・の!」とさらりと突っ込む。
隣のテーブルにやってきたお客さん達(勿論オカマさん)とも一緒になって盛り上がり、友人宅のある湯河原まで帰る始発電車が走り出した4時半頃、「え~?もう帰っちゃうの~?」と惜しまれつつも、女性以上に気配りの利くドレミちゃんにさよならして帰路についたのでした。
(貫徹で眠たい)糠漬け研究家
連れて行かれたのはオカマバー。実は朝からOL時代の同期会で渋谷に出かけ、夜は夜で息子の幼稚園時代のママが遠方から出てくるというので、旧交を温めた飲み会での帰り道。体力に自信は無いものの、“オカマ”と“社会勉強”の二文字はとても魅力的でした。
タクシーを降りたところは野毛。「ドレミの部屋」と書かれた怪しい看板。
どんな美しいオカマさんに会えるか楽しみに店のドアを開けると、「いらっしゃ~い」と、ごっつい男性が二人、くるりと振り返った。
「もうや~だ、この女!ホント、迷惑なんだから~。もう、来なくっていいって言ったのよ!店が込んでいるのに座り込んで帰らないんだから。ホント、め~わく。」
友人の店でのいつぞやの振る舞いを、にっこにこしながらもぺらぺらとまくし立てている。
ドレミちゃんの正体がこの60前後のおじさんだったかとまん丸目玉の私を店の奥に通し、てきぱきとお通しを出してくれる。お手拭をさっと手渡し、糠漬けに茶碗蒸し、ハラス。お通しでお目にかからないようなものが多い。
「あ~、鮭だ。美味しそう。」と言う私に、
「あら、これ、ハ・ラ・スって言うのよ。お高いのよ。知らないの?」(それくらい知っている!!)
糠漬けは、きゅうり、ナス、人参は勿論、長芋、ピーマンまである。
ドレミちゃん:「何と言っても、材料が1番よ!ナスなんか悪いと切った途端、す~ぐ茶色になっちゃうんだから。これ全部私が漬けるのよぉ。たまねぎも美味しいわ。あーたどのくらいかき回すの?」
私:「朝と夜に、ささっとです。」と小さく言うと、
ドレミちゃん:「駄目よ!5分よ、5分!」
私:「え~!?そんなに回すと味も良くなるんですか?」
ドレミちゃん:「当ったり前よ。演歌1曲歌えばすぐよ、すぐ。この糠床なんて20年以上も使っているのよ。」
知らなかった。5分もかき回すなんて。
それにしても、糠漬けにしても茶碗蒸しにしても、とても美味しい。これ全部、ドレミちゃんとひかるちゃん(もう一人のオカマさん。頭がピカピカだから?)が作ったのか~、と感激してしまう。
さて、このドレミちゃん。人間洞察もするどい。女4人で行ったのですが、酔って話の腰を折る友人に、「あんた、人の話を聞きなさいよ。あんたみたいなのは自分が一番好・き・な・の!」とさらりと突っ込む。
隣のテーブルにやってきたお客さん達(勿論オカマさん)とも一緒になって盛り上がり、友人宅のある湯河原まで帰る始発電車が走り出した4時半頃、「え~?もう帰っちゃうの~?」と惜しまれつつも、女性以上に気配りの利くドレミちゃんにさよならして帰路についたのでした。
(貫徹で眠たい)糠漬け研究家
未知の世界に私もお邪魔してしまったよう。
「え~?もう帰っちゃうの~?」は私の台詞でもありました。
ドレミちゃんとの会話の注意点など、実に勉強になりました。こういう感性の方は周囲にいませんから…。
二度目に会った時のドレミちゃんの対応はどんな風でしょうか?
次なる報告をお待ちしています。
流暢な毒舌弾丸トーク、目に浮かびます
訪れた人たちを絶対退屈にさせない、楽しくて可笑しくて、でも決して薄っぺらな感じではなくて、何かこう…強烈な印象を残してくれる不思議な世界ですよね。
当時の私は突っ込みどころ満載な格好をしていたせいか、「ちょっと見てよこの子~ぉ。いったいどこでこんな服売ってるのぉ?」と、ピーコ顔負けのファッションチェックをされた挙句に、リュックに付けていたランドセルのキーホルダーを見るなり「あらぁ、ランドセルなんてぶら下げちゃって!嫌な子ねぇ!」と、言葉とは裏腹に体をくねらせながら私をつつく(汗)
「え?ラ、ランドセル嫌いなんですか?」と聞くと・・・
「子供のこと思い出しちゃうじゃな~い。これでも私(太い人差し指をフリフリしながら)、家に帰ればパ・パ・よ!きゃっ♪」
あはは・・・(汗)
名前は忘れてしまいましたが、おかっぱ頭に丸い顔、鼻の横に大きなほくろ、まーるい体にピッチリサイズの黒のスーツ(注、ミニスカート)編みタイツ(あ、編みが広がってます!)お店に居る間中私を笑い転げさせてくれたあの人は、今頃どうしているのでしょう・・・。
「女の子、ってだけで得してるんだから。もっと綺麗な色の服を着なさい。自分に自信を持ちなさい。」
・・・思い出しました。
少し明るい色の服を買いに行こうかな。(もう女の子じゃないだろう!って突っ込みはなしの方向で。汗)