ある産婦人科医のひとりごと

産婦人科医療全般、産婦人科医不足の問題、地域周産期医療の現状と未来、当医療圏の産科問題に対する取り組み。

飯田市立病院の周産期センター

2014年05月19日 | 飯田下伊那地域の産科問題

飯田市立病院の第3次整備事業(救命救急センター、周産期センター、がん診療・緩和ケアセンター)が完了し、本年1月より新しい周産期センターも運用が開始されました。

産科病棟、分娩部、新生児治療などの入院部門を、従来の本館4階東病棟と4階西病棟から新設の北棟2階の周産期センターに移転集約しました。周産期センターを本館2階の手術室と隣接させたことで、緊急時のより迅速な対応が可能となりました。また、病棟直下の1階に産科外来、助産師外来、婦人科外来を移転集約し、妊婦さんや職員の移動時間の短縮や、入院部門と外来部門との連携強化を図りました。 産科病床は6床増となる38床、GCU(新生児継続保育室)は8床増の12床に拡充しました。分娩室と陣痛室はそれぞれ1室、3室増となる各4室で、プライバシーにも配慮しました。分娩室やNICU(新生児集中治療室)のモニター装置や医療機器を更新しました。周産期センター入口の管理システムを強化し、セキュリティーや感染予防の向上を図りました。

飯田市立病院第3次整備事業の総事業費は医療機器や設備などを含めて31億2000万円で、財源は県交付金5億1000万円、市の一般会計9億円、病院事業債17億1000万円でした。

飯伊地域の分娩取り扱い施設は2004年度までは6施設ありましたが、2005年度に3施設が分娩取り扱いの中止を表明し、地域で多くの「お産難民」が発生する可能性が浮上したのを受け、飯伊地区包括医療協議会や市などは「産科問題懇談会」を設立し、各医療機関の連携体制を構築したり、市立病院の助産師を増員したりする対策に取り組みました。実際に分娩取り扱い施設は、2006年度は3施設に減少し、2010年度末からは市立病院と椎名レディースクリニックの2施設のみです。市立病院の分娩件数は、2005年度の552件が2006年度に1003件と大幅増となり、近年は年間1200件程度(県内最多)で推移しています。市立病院の分娩件数は急増しましたが、連携体制で負担が軽減されたため、実際にお産を断った例はほとんどなく、産科医療崩壊の危機を地域の連携体制により何とか乗り越えました。

飯伊地域の産科医療体制は、妊娠32週までの健診を地域内の医療機関が担い、それ以降から分娩までの対応を飯田市立病院と椎名レディースクリニックが担当しています。ハイリスク分娩は市立病院が担当しています。この連携体制は、役割分担で各病院の負担を軽減させ、地域での分娩取り扱い件数を確保するのが狙いです。妊婦の情報を正確に共有するため共通カルテも導入されています。

最新設備を導入した周産期センターも完成し、当地域の産科医療体制はさらに充実しました。今後も行政、医療機関が協力し、安心してお産ができる地域の医療体制を構築していきたいと思います。

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