ある産婦人科医のひとりごと

産婦人科医療のあれこれ。日記など。

生殖補助医療(ART)

2020年06月29日 | 生殖内分泌

assisted reproductive technology ART

生殖補助医療(ART)とは、卵子を採取する採卵、体腔外での卵子と精子の体外受精卵細胞質内精子注入法(顕微授精)、培養後の受精卵を子宮内に移植する胚移植などを含む医療技術の総称です。

生殖補助医療の種類と適応
① 体外受精・胚移植(IVF-ET)
採卵により未受精卵を体外に取り出し、精子と共存させる(媒精)ことにより得られた受精卵を、数日培養後に子宮に移植する(胚移植)治療法です。最初は卵管性不妊の不妊治療に用いられてきましたが、現在はその他の不妊原因の治療としても使われています。
② 顕微授精(卵細胞質内精子注入法、ICSI)
卵子の中に細い針を用いて精子を1匹だけ人工的に入れる治療法です。顕微授精は、男性不妊受精障害など、顕微授精以外の治療によっては妊娠の可能性が極めて低いと判断される夫婦を対象とします。
③ 凍結胚・融解移植
体外受精を行った時に得られた胚を凍結させて保存し、その凍結胚をとかして移植する方法です。身体に負担のかかる採卵の回数を最小限にして、効率的に妊娠の機会を増やすことができます。卵巣過剰刺激症候群のリスクの高い時期の胚移植を避けることができます。移植する胚の数を1つにしておけば、多胎妊娠となるリスクを減らすことができます。

日本産科婦人科学会では、生殖補助医療を行っている施設(生殖医療登録施設)の一覧を毎年発表しています。

http://www.jsog.or.jp/modules/statement/index.php?content_id=20
体外受精・胚移植に関する見解(日本産科婦人科学会)
体外受精・胚移植(以下、本法と称する)は、不妊の治療、およびその他の生殖医療の手段として行われる医療行為であり、その実施に際しては、わが国における倫理的・法的・社会的基盤に十分配慮し、本法の有効性と安全性を評価した上で、これを施行する。
1.本法は、これ以外の治療によっては妊娠の可能性がないか極めて低いと判断されるもの、および本法を施行することが、被実施者またはその出生児に有益であると判断されるものを対象とする。
2.実施責任者は、日本産科婦人科学会認定産婦人科専門医であり、専門医取得後、不妊症診療に2年以上従事し、日本産科婦人科学会の体外受精・胚移植の臨床実施に関する登録施設において1年以上勤務、または1年以上研修を受けたものでなければならない。また、実施医師、実施協力者は、本法の技術に十分習熟したものとする。
3.本法実施前に、被実施者に対して本法の内容、問題点、予想される成績について、事前に文書を用いて説明し、了解を得た上で同意を取得し、同意文書を保管する。
4.被実施者は、挙児を強く希望する夫婦で、心身ともに妊娠・分娩・育児に耐え得る状態にあるものとする。
5.受精卵は、生命倫理の基本に基づき、慎重に取り扱う。
6.本法の実施に際しては、遺伝子操作を行わない。
7.本学会会員が本法を行うにあたっては、所定の書式に従って本学会に登録、報告しなければならない。

(昭和58年10月発表、会長 鈴木雅洲)
(平成18年4月改定、理事長 武谷雄二、倫理委員会委員長 吉村泰典)
(平成26年6月改定、理事長 小西郁生、倫理委員会委員長 苛原 稔)



http://www.jsog.or.jp/modules/statement/index.php?content_id=21
顕微授精に関する見解(日本産科婦人科学会)
 顕微授精(以下,本法と称する)は,高度な技術を要する不妊症の治療行為であり,その実施に際しては,わが国における倫理的・法的・社会的基盤に十分配慮し,本法の有効性と安全性を評価した上で,これを実施する.本法は,体外受精・胚移植の一環として行われる医療行為であり,その実施に際しては,本学会会告「体外受精・胚移植に関する見解」を踏まえ,さらに以下の点に留意して行う.
1. 本法は,男性不妊や受精障害など,本法以外の治療によっては妊娠の可能性がないか極めて低いと判断される夫婦を対象とする.
2. 本法の実施に当たっては,被実施者夫婦に,本法の内容,問題点,予想される成績について,事前に文書を用いて説明し,了解を得た上で同意を取得し,同意文書を保管する.
3. 本学会会員が本法を行うに当たっては,所定の書式に従って本学会に登録・報告しなければならない.

(平成4年1月発表、会長 鈴木雅洲)
(平成18年4月改定、理事長 武谷雄二、倫理委員会委員長 吉村泰典)

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