ある産婦人科医のひとりごと

産婦人科医療のあれこれ。日記など。

これから何を目標に頑張ったらいいのか?

2012年04月14日 | 日記・エッセイ・コラム

もともとは漢方医学を学ぶ目的で医学部を受験し、学生時代には独学で漢方医学の勉強をしましたが、医学部卒業後は母校の産科婦人科学教室に入門して三十年間漢方医学の勉強は封印して過ごしてしまったので、これから封印を解いて漢方医学の勉強を独学で再開したとしても、一人前の漢方医として世間で通用するようになるのはもう難しいと思います。

産婦人科に入門後は、その時その時の必要に迫られて、産婦人科の各分野の仕事に従事してきました。大学院生時代は主に婦人科病理学、婦人科細胞診断学などの勉強が中心でした。飯田市立病院に赴任してからは、婦人科腫瘍学関連以外に、腹腔鏡下手術や周産期医学などの分野の仕事のウエイトも大きくなりました。

私の婦人科腫瘍学の最初の師匠は野口浩先生、塚原嘉治先生をはじめとした教室の諸先輩方でした。手術のやり方や病理診断、細胞診など、非常に多くのことを教わりました。その後、藤井信吾教授、小西郁生教授からも非常に多くのことを教わりました。今では、塩沢丹里教授をはじめとして信大の諸先生方から教わることが非常に多く、当科における婦人科悪性腫瘍手術の執刀は信大の腫瘍専門医の先生方に御願いすることが多くなりました。

私の腹腔鏡下手術の師匠は可世木久幸先生(日本医大教授)でした。毎週、可世木先生と腹腔鏡下手術を実施していた日々は私にとって非常に楽しい思い出です。当時は腹腔鏡下手術に明け暮れた毎日でしたが、残念ながら私は不肖な弟子で全然上達せず、今では腹腔鏡下手術から完全に足を洗ってます。

私の周産期医学分野の師匠は何と言っても波多野久昭先生です。波多野先生は今では不妊症の専門家ですがもともとの御専門は周産期医学で、周産期医学に関してはほとんど素人同然だった私に、十四年間の長きにわたり、いろいろなことを基本から教えてくださいました。また、芦田敬先生からは周産期医学の最近の考え方について二年間で多くのことを学びました。

残りの人生で何を目標に頑張ったらいいのか? これから全く新しい分野に挑戦して一から入門しなおしても、結局は中途半端に終わるだけでしょう。残された時間は無限にあるわけではないので、時間はなるべく有効に使う必要があります。可能性としての選択肢はいろいろあり得ますが、もう自分も若くはないし、やはり今までの人生で培ってきた知識と技能と経験と人脈を有効利用する道を選択した方が、世間からの要請にも少しは応えることも可能になると思われます。