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歩くことが唯一の趣味ですから。

韮山反射炉

2016-01-12 | Weblog
三島は2度目だった。「町中を水量たっぷりの澄んだ小川がそれこそ蜘蛛の巣のやうに縦横
無尽に残る隈なく駈けめぐり、清冽の流れの底には水藻が青々と生えて居て、家々の庭先を
流れ、縁の下をくぐり、台所の岸をちゃぶちゃぶ洗ひ流れて、三島の人は台所に坐ったままで
清潔なお洗濯が出来るのでした。」という碑を見るのも2度目で、まったくその通りの土地だと
思った。三島大社で絵馬をみて、楽寿園ひとまわりしたら、することがなくなった。


伊豆箱根鉄道に乗ってみた

320円の切符を買って、伊豆長岡駅でおりた。ユネスコの世界文化遺産「明治日本の産業
革命遺産」のひとつになった(2015年7月に登録)、韮山反射炉を見物してみようと思った。
駅から無料シャトルで10分。しかし、本数が少なくて1時間以上待つのでタクシーに乗った。
ほんの数分、860円でついた。


あれが韮山反射炉

蘭学に通じた幕末の役人が、アヘン戦争で清がやられたのを知って、やばいでござると悟り、
鉄製の大砲を鋳造するために煉瓦を焼いてつくった反射炉は小ぢんまりしていた。


100円を支払った

長崎の軍艦島などと一緒に世界文化遺産に登録されるまでは、無料で見学できたと聞いた。
しかし100円ぐらいならと思って、その下のお知らせを読むと……!


100円を300円に値上げする?

平成28年4月1日以降ということは、100円で見物できるのも再来月まで。小ぢんまりした
反射炉に300円も払うのは悔しいから、気まぐれに三島から電車に乗ってきてよかった。


回り込むと2基ある

入口から煙突2本みえたのが1基、回り込むと同様に煙突が2本あって、これでもう1基。
合計2基。煙突の数だけ反射炉があり、1基あたり2炉。だから全部で4炉だった。


横の穴から燃料と銑鉄を入れた

右の小さい穴から燃料の石炭などを、左の大きい穴から材料の銑鉄などを入れて、炉の
中で熱を反射させて金属を溶かすから「反射炉」だと、ボランティアの人が説明していた。
溶けた鉄は炉の裏に流れるよう傾斜がついていて、左の穴が大きいのは、メンテナンス
に人が入る (炉に滓が残らないように清掃する) ためだった。


炉の裏はこうだった

L字に並んだ反射炉の裏から熱で溶けた鉄を集めて、鋳型に流し込んで大砲を鋳造した。
ふーん……手間のかかることでござるな。


炉の裏の穴はこんな配置だった

左右に2炉あって、それぞれ穴3つ。上の四角い穴から鉄をかき混ぜたり、サンプルを
とったりした。丸い穴のうち高いほうは滓をとる穴、低いほうから溶けた鉄が流れ出た。
ちなみに、鉄骨は史跡を保護するため後から取り付けられた。反射炉ができたときは
煉瓦の上にしっくいが塗られて、まっしろけだった。


できました大砲がこちらにござる

砲身は筒ではなく棒として鋳造するから、川の水力を利用して筒状にくり抜くのだった。
反射炉の周辺は、炭置小屋、鍛冶小屋、錐台小屋、細工小屋など、小屋だらけだった。


隅々まで見物したから帰ろう

と思ったらタクシーがいない。電話で呼ぶほどの距離でもないし、駅まで歩いてみるか。
100円払って受け取った3つ折のパンフには、徒歩20分と書いてあった。


反射炉から200m、駅まで1.6km

200m離れたところで振り返ったら、ぽつんと反射炉がみえた。ついでだからいいけど、
わざわざ遠くからきたら、よほどの物好きでないかぎり……。


中央の煙突がそう


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