散 歩 B L O G

歩くことが唯一の趣味ですから。

池田町

2015-11-03 | Weblog
霧がすごくて紅葉が見えない。そこがいい、来てよかったと霧の中で思った。長野県北安曇郡の
池田町、標高およそ1000mの大峰高原に生えている大カエデ。大きすぎて葉がいちどに紅葉
せず、徐々に色づく様子が七色の輝きと形容される樹齢250年の大カエデ。


乗ってきたバスも見失いそう

ふりむけば、マイクロバスが霧に溶け込んで消えつつある。このあたり、農地にすべく昭和22年
春に大峰高原開拓団が開墾したときカエデをはじめ広葉樹が林立していたとか。大カエデだけは
根がどうにも抜けなかったので、耕地の中央に幹を1m残して伐採……したものの、耕地としては
水が不足とわかり開拓団が撤収。そのまま忘れ去られ……


観光協会の方の話

20年ほどして牧場ができた昭和43年、盆栽のような枝ぶりに育った大カエデが再発見された。
ドラマチック。牧場がなくなった今も観光名所になっている。


すぐ近くの八寿恵荘に泊まった

翌朝、もういちど大カエデを見にいく。山の霧はすっかり晴れて青空が広がってるから、紅葉も
きっと目にすることができるだろう。


葉が大分落ちてる

おじいちゃんだからなのか、時季がもう終わりかけだからか、あまり葉っぱがない。霧の中で
見たときも、薄々そんな気がした。この大カエデの種から育った、子カエデたちが近くにいた。
(大カエデは正式名称だが、子カエデは今つけたニックネーム)


樹齢10年の子カエデたち

さて、もうちょっと標高の高いところに生えている、中カエデという仲間を見にいく。大カエデは
要介護だから柵で囲まれているけれど、中カエデは柵がないので近寄っておさわりOK!


下から覗き込んでも怒られない

感激のあまり抱き着いたりするお客さんも少なくない。それで癒されるなら構わないと中カエデ
も大人しく風にそよいでる。サービスがいい中カエデは人気あって……


お客さんが木の下に集まってる

これから大峰高原を支えていくのは、実質的に中カエデかも。なんて思ってたら、ライバルが
意外なところから出現した。


わたくしアズキナシと申します

「民さんは野菊のような人だ」でおなじみ、『野菊の墓』の映画化の際、松田聖子と桑原正が
この木の下でロケしたという。「花一色~野菊の囁き~」ですね。


カモミールの苗を植えた畑だ

紅葉も楽しんだところで、泊まってる八寿恵荘のほうに下りてくるとカモミール畑があった。
どうしてあれがカモミール畑とわかるかといったら……


前の晩にカモミール食べたから

右にカモミールの天ぷら、中央のサラダにもカモミールが、まるいコロッケにもカモミールが
刻んで入っておりました。カモミールは秋に種をまいて苗を育て、畑に植えた苗は雪の下で
冬を越すとか。春にぐんぐん成長して、夏までに花を咲かせる。


だから今は苗を植えたばかり

夕食に出たのも貴重な苗だったのかな……ああ、おいしかった。八寿恵荘は今年、日本初の
「 BIO HOTELS 認証 」を取得したばかり。オーガニックという言葉が今ほど知られていない頃
から、カモミールを育てて、隣の工場でそのエキスを作ってきたという。


霧が晴れたから看板が読めた

せっかくなので工場も見学させてもらう。工場といっても宿の感じに近い。木の床でやさしい
雰囲気。カモミールのエキスを作る場所だから、操業中も静かなんだろうな。


カモミールには種類がありまして

ローマンカモミールとジャーマンカモミールに大きく分かれ、こちらで育てて原料にするのは
「しんせいカモミール」と呼ばれるジャーマンカモミール……「しんせい」ってどういう字を書く
んだろう? 新生カモミール? ドイツならば、神聖カモミールもありうる? そう思って後で
質問したら、真性カモミールだった。


池田町の道祖神は防寒してる

華密恋としておなじみのカモミールエキス(カミツレエキス)の他に、池田町で作ってるもの。
やきものがさかんということでアツムイ窯を見学した。アツムイはアイヌ語で安曇のことだと
北安曇郡の池田町で陶芸を営む森田光男さんの、名刺代わりの紙に書いてある。


地元の方かな?

と思ったら神奈川県の逗子出身で、新潟県から古民家を移築して窯を築いて陶芸している
そう。すごい……自分の感性で生活を完成させているようにお見受けした。


窯の中は高温になるんだろうな

800度とか1000度とか、そんな窯にもし閉じ込められたら肉は焼けるし骨も粉になるかも。
小説のネタにならないかな? と余計なこと考えてしまった。


地元で愛される日本酒、大雪渓

その蔵も見学した。余談だが杜氏に3タイプあり、昔ながらの出稼ぎ杜氏。これが減っていて
何とかしなきゃということで、酒造会社の社員の杜氏が増えている。オーナーが杜氏を兼ねる
ケースも増えていて、イメージ重視の売り方になりがち。3者3様に得手不得手があり、お互い
負けたくないと思っている。(ベテランに学んだ社員杜氏さん談)


若き専務が製造工程を見せてくれた

日本酒が発酵するとき、タンクの中は酸素がないから不用意に覗き込んだら気絶してしまう
し、落ちたら死んでしまう。お酒の好きな人なら覗き込むかも……小説のネタにならないかと
余計なこと考えてしまった。


池田町でも河童を見つけた!

八寿恵荘のロビーに陶器の河童が3体いた。よく見たら、頭のお皿がカモミールの花だった。
これで河童の目撃情報は、長野、岐阜、茨城、埼玉に広がった。

関連記事:  多治見の河童
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