Collegium Johanness な日々

合奏と合唱で活動中のCollegium Johanness コレギウム・ヨハネスのページです。

miserere mei

2018-03-14 01:49:29 | 指揮者から
みなさまこんにちは。

今年も3月となりました。わたくしたちの好例の演奏会のシーズンも佳境を迎えております。
少しずつ準備が進んでおりますが、毎度思うことですが、歴史的な時間を超えて
評価されている天才の作品は奥の深いもので、隠し味のきいたところがいいのですが、
なかなかむずかしいです。

今回、わたくしたちはミゼレーレ miserere meiを取り上げます。
ダビデの慟哭から始まる旧約聖書の詩篇51篇に曲を付けたもので、
その神秘性から楽譜の出版が教皇の命令で禁止されていた作品です。

さて、みなさん。楽譜が出版されていないのにどうして我々は演奏できるのか?
当然の疑問がわくと思いますが、それはそれ。いつの時代にも音楽への感動に
突き動かされ禁令を破るものはおりまして、聖歌隊の隊員であったり、
礼拝の参加者であったりが作品を聞いて聞き書きしたものが残っており、
それが今日出版譜として流通しています。

流通した楽譜のおおくは18世紀から19世紀に記載された資料が基になっております。
そのため、大変耽美的で美しいのですが、1600年代初頭という時代を考えるとどうも
奇異に映るといわれていました。そのため、当時の演奏習慣に則って記譜された資料が
見つかってくると、その記録に基づいた楽譜が多数校訂されるようになりました。

今回私たちはイギリスのAncient Groove Music社の楽譜を用いて演奏を試みました。
古い時代の音楽に興味を持って取り組んでいた私たちにとって、この演奏は大変興味深い
実験でした。よくCDなどで聞くことができる作品について、時代の流れを意識して楽譜を
整えなおした時、非常に瑞々しい世界が見えたような感じがしております。

しかしなお、私たちの楽譜もある記録に基づいた再現譜であり、今後また違う資料に
基づいてよりオリジナルに近い楽譜が作られることだと思います。

私たちがこのシーズンでミゼレーレに取り組み始めたのちに、一切の装飾を取り除いた
版が出版されました。この作品をめぐる時代の流れを探る試みは、まだ続いています。




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