ちょうどいいの


Z7 + NIKKOR Z 50mm f/1.2 S

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得意先のA部長は天才的な人だ。
とにかく知識の量が半端じゃない。
しかもあらゆる分野に通じている。

およそあの人に聞いて分からない事はない・・という程である。
大手の会社には凄い人がいるものだ・・と感心する。
もっとも、あんな男は世界中探してもいない・・と、その上司が言っているのを聞いたことがある。
やはり滅多にいないレベルの人なのだろう。

また実際に言っていることがすべて「正しい」のだ。
長年の付き合いであるが、およそ過去に理論の面で間違っていたことが無い。
その場ではどうだろうかと疑問に思うようなことでも、最終的には言っていたことが正しかったと分かる。

欠点があるとしたら、説明が長々と続いて終わらないことだ。
電話が来ると、相当の時間、話すことを覚悟しなければならない。
短くて2時間は捕まる。
だから忙しくて話していられない時は、こちらも居留守を使ったりする(笑)

正しいには正しいのだが、説明を聞くのが大変なのだ。
いつまでも終わらないので、申し訳ないが残りはメールで送っていただけないかと頼むと、何ページにも渡るレポートが送られてくる。
読むのも大変なほどの量である。

皆がその知識は評価してはいるが、話を聞かされるのは、大変・・というより苦痛に感じている。
そのため得意先ではA部長と話したがらない人も多く、特に営業の人たちは超理論派のA部長が苦手で避けているようだ。
本来ならA部長の話すことを存分に活かせれば、凄い武器になるはずなのだが・・・

一方同じ会社のB部長は、まるで逆のタイプだ。
こちらはサラリとしているのだが、人付き合いがよく、部下からの人望も厚い。
顔が広く得意先からも名指しで指名される。
B部長と飲んだことがありますよ・・という話を、他の会社の人からもよく聞く。

B部長も恐らく一流の大学を出た優秀な人なのだろうが、A部長とは対照的な人物である。
打合せをしても深い話になる事は少なく、じゃあこうしましょう・・と、あっさり決めてしまう。
もちろん要所はしっかり押さえているのだが、何度も検証することはなく、話が簡単に決まっていく。
最低限の労力で済ましている印象だ。

まだ直接話すのならいいのだが、困るのはB部長からのメールである。
あまりに簡潔すぎて、読んでもすぐには意味が分からないことが多いのだ。
パソコンに疎いというより、打つのが面倒なのだろう。
単語がいくつか並んでいるだけ・・に近い内容の時もある。

もう少し詳しく書いてくれるといいのだが・・といつも思う。
まるで走りながらスマホに入力したかのように、最低限のそっけない文章である。
それを受けた側は内容を何度も読んで、何を言いたいのか解読する必要がある。

実際昨日もメールを頂いたが、二言三言しか本文のない短いものであった。
どれが主語でどれが述語であろうと(取り方によって意味がまったく変わってしまう)何度も文面を読み返して考えた。
恐らくこうして欲しいのだろうな・・と考えて、勝手に動いたが、果たして正しかったのかどうか・・・

それぞれ特色があって、まるで逆のタイプであるが、案外二人は仲がいいという。
ただその二人を配下に置くC取締役は大変なようだ。
「まったくAは長すぎるし、Bは短すぎる。ちょうどいいのがウチにはいない」
と嘆いておられた。
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