ミッドウェイ


Z7 + NIKKOR Z 50mm f/1.8 S

大きな画像

先週末に近所の映画館に「ミッドウェイ」を観に行ってきた。
夕方の回であったが、映画館はガラガラであった。
観客は我々二人を入れて8人くらい。
コロナで隣り合わせには座れず、映画館の中央に1席おきに8人が座っているという、何だか不思議な光景であった。

映画の方は今時珍しいほどの「純」戦争映画であった。
三流のラブロマンスを軸にした「おとぼけ戦争もの」ではなかった。
今の時代に一方的な正義で描いた戦争映画など通用しないと、ローランド・エメリッヒ監督自身が言っている。

ドイツ人の監督が第三者的な目で見た日米の戦争映画で、内容は比較的日本にも気を遣ってくれている。
やっとそういう時代が来たのかな・・という気もした。
戦争の当事者や関係者が少なくなり、孫、ひ孫の代になり、影響力も薄れてきたのであろう。

ただ中国資本がほとんどのハリウッド映画で、今後日本をどう描いて行くのであろうという疑問は残る。
そもそもハリウッドに手を伸ばしたのは、人民の操作が可能なメディアの掌握が目的であろう。
関係が悪くなれば、残虐な日本人の描写が強められるであろうことは想像に難くない。

ところでエメリッヒ監督はこの企画を20年間もあたためてきたという。
言われてみればミッドウェイ海戦は、情報の分析力や作戦ミスといったいくつかの要因で日本が逆転負けした、米国にとっては世にも面白い戦いなのだ。
それを双方の考え方をある程度公平に描き、男同士の壮絶な戦いとして作れば、映画としては見応えのあるものになる。

この映画で興味深いのは、連戦連勝であった日本を、米国の兵士が鬱気味になるほど恐れていることで、勝てるわけがない・・と考えていることだ。
確かに現場で実際に戦うものにとってはそうだったのかもしれない。
戦後に生まれた我々にしてみれば、これだけ国力が違うのだから最初から日本が勝てる戦いでは無かったという思いがある。
太平洋戦争後半の戦況が悪くなってからの日本の印象が強く、日本を恐れる米国人を見るのは不思議にも感じた。

個人的に疑問であったのは、戦闘機である零戦がドーントレスに簡単に落とされるところだ。
敵の戦闘機でさえ落とすことが出来なかった当時の零戦を、急降下爆撃機で互角の旋回性能で戦ってみせ、後部銃座からの射撃で何機も落とすなんてことが本当にあったのだろうか。
やはり映画は観客へのサービスを入れないと、興業が成り立たなくなるということであろうか・・・
コメント ( 6 ) | Trackback ( 0 )