320dの走り


Z7 + NIKKOR Z 50mm f/1.8 S

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車を320dに替えて半年弱が経過した。
新型コロナの影響もあり、まだ3千キロ程度しか走っていないが、そろそろ走りの傾向は掴めてきた。
ここで現時点での感想を書いてみようと思う。
(ブレーキのオートホールドとヘッドライトに関しては、2020年5月14日の日記も参照

まず(Mスポーツでは無く)スタンダードの足回りとタイヤにしたことで、乗り心地はソフトでしなやかだ。
今まで乗った車の中では、ボディサイズも含めてE39の5シリーズに近い印象を持っている。
路面が荒れているところで飛ばしても、突き上げ感は角が取れ、直進性も乱されることがなく、しなやかにクリアしていく。
かと言って芯の無い柔らかさではなく、ハンドリングは正確でBMWらしい爽快感がある。
その辺りは狙った通りだ。

運転が楽でストレスが少ない。
例えばいつか代車で数日間乗ったM240iのようなハイパワーのFR車(2019年12月12日の日記)だと、アクセルの踏み具合に車が敏感に反応し、ちょっと運転する分には面白いのだが、長距離を走ると疲れてしまう。
しかし200馬力以下で足周りの柔らかい320dの場合は、何も考えずに運転することが出来て、少々遠出しても疲労が少ない。
やはり乗り心地がいいというのは、身体にも優しいのだろう。

エンジンは確かに低回転域からトルクはある(2000回転前後で40kgm以上のトルクを発生する)のだが、回転数に応じてパワーがリニアに上がっていくとは言えず、レッドゾーン近くまで回してもゴウゴウ唸るだけで盛り上がりに欠ける。
最初は力強くグイと出るが、そこから先の伸びが今ひとつで、劇的なもの、官能的なものが感じられないのだ。(ターボラグもそれなりにある)
ディーゼルだから仕方がないとはいえ、これはけっこう大きなマイナス点だと思っている。
走りが好きな人なら、たとえパワーがもっと少なくても、回すにつれてパワー感も上がっていくガソリンエンジンの方が、走っていて面白いのではなかろうか。

ただクリーンディーゼルの維持費は非常に安いので、どちらを取るかである。(自動車税に関しては2020年5月13日の日記参照
タンクは満タンで59リッター入り、給油するとそれまでの燃費から算出し、あと850キロから900キロくらい走れると表示される。
計算するとリッター14キロから15キロくらいになる。(同じ走り方で旧型120iはリッター8キロ前後であった)
高速道路だけを大人しく走れば、恐らく満タンで1,000キロいくのであろう。

この車にはxDriveといって、通常の走行時は後輪駆動なのだが、滑ると判断した時は自動的に前輪にパワーを配分し四輪駆動になる、という機能が付いている。
トルクの太いディーゼルとは特に相性がいい仕組みだという。
残念ながらいつ四駆になっているかの情報はインパネに表示されない。(以前乗っていたR32のGT-Rなどは、前輪と後輪の配分を示すメーターがありとても面白かった)

恐らく停止状態から発進加速する際は四駆になると思われ、それが理由だと思うが、気味が悪いほどフラットな姿勢で加速していく。
頭がほとんど持ち上がらずにそのままの体勢でグングン進んでいくのだ。
またこれも四駆の恩恵ではないかと思うのだが、直進安定性が抜群で、かなりの速度で走行しても安定感が失われない。
多分隣の国までアウトバーンを時速200キロ出しっぱなしで行けと言われても、何とかなるかな・・と思うだろう。
やはり四駆というのは安定していて安全である。

ただし四駆が走行のフィーリングがいいかと言われると必ずしもそうではない。
たとえば曲がり角で思いきりロールさせて、アクセルを開き気味にしてこれなら滑るだろう・・という走り方をしても、地面にくっついたまま回っていってしまう。
ハイパワーFRなら後輪がズルッとくるはずの場面でも、多少ラインを乱される程度で何とかクリアしてしまうのだ。

確かに安全であるが、不自然でもある。
たとえばスキーをする場合、ある程度板が横滑りすることを計算に入れてターンすると思うのだが、それが出来ずに地面にくっついてしまったら面食らうであろう。
320dは危険要素を排除する方向に振ってあり、確かに安全であるが今一つ面白くないところがある。
BMWというメーカーの巨大さから言って仕方がないのであろうが・・・

これは善し悪しで、ハイパワーのFRがいつ裏切るか分からない妖しい美女であれば、こちらは同じく美人でも良妻賢母型の女性・・という感じである。
雨の日もかなり安定しており、何も考えなくても万事うまくやってくれる。
安心して任せられるタイプと言えるだろう。

オプションでサイドにも防音性の高いアコースティックガラスを搭載しているが、飛びぬけて静かという印象は無い。
一般的な基準から言えばかなり静かな方なのだろうが、並べて比べてみないと分からない。
ディーゼルのエンジン音は多少は車内にも入ってくるし、外にいる人からは、BMWにしてはトラックみたいなエンジン音ですねと言われた(笑)

ノーマル形状のレザーシートは横のホールドがちょっと不足気味で、強めに横Gをかけると体が滑ってしまう。
そのため左コーナーでは肘を引っかけて身体を支えている。
その程度の範囲で大人しく走ってくれ、ということであろうが、個人的にはもう少しホールド感が欲しいなと感じている。

四駆ということもあり、同じ3シリーズの中でも最小回転半径は大きめだ。
会社の駐車場から細い道に出る際、120iの時は一発で回り切ったのに、320dだと切り返ししないと出られない。
これは運転する方にとっては大きな差である。
車体の幅もけっこうあるが、今のところそれはあまり苦にはなっていない。

全般に高級エステートらしく、大人しくしなやかに走るように作られている。
ディーゼル・エンジンの特性がガソリンと違うこともあり、当初はなかなかリズミカルに走れなかった。
しかし最近やっと慣れてきて、ちょっと飛ばし気味に走る時など、BMWらしくきびきび走れるようになってきた。
恐らくもっと上手い人が運転すれば、ちゃんとそれに応えてくれる車なのであろう。
その辺りはさすがBMWである。
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