便利な乗り物


D850 + SIGMA 35mm F1.4 DG HSM

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運転している時にふと考えた。
やがて完全な自動運転の時代が来るであろう。
途中段階は必要であろうが、最終的にはすべての車が自動運転となり、人間が操縦する車の通行は許されなくなるはずだ。
1台でも人間の運転する車が混ざってしまうと、交通事故が起きる可能性があるからだ。
全ての車の運用を高性能コンピューターが一括管理することで、初めて完璧な未来の交通社会が実現する。

車を呼べば、無人の自動車が家まで迎えに来てくれる。
目的地を告げれば、もっとも効率のいいルートを選んで自動車が勝手に進んでいく。
もちろんすべての車の動きは中央コンピューターが掌握しており、そちらから指示は出される。

恐らく渋滞と呼ばれる現象はほとんど起きないであろう。
自動車は停止することなくスムースに目的地まで走っていくはずだ。
システムの完成度が高まれば、事故も皆無になる。

そういう世界を想像すると、車がルールを守って大人しく進んでいく様子が頭に浮かぶ。
しかしそうであろうか。
現在の交通ルールは、あくまで人間が運転することが前提で決められたものである。
いつ何が飛び出してくるかわからない交差点で、一時停止して左右を確かめて、恐る恐る進むというものだ。

未来の管理交通社会では、全世界の車の動きがコントロールされており、いきなり他の車が飛び出してくることは基本的にあり得ない。
したがって現在のようなビクビクした動かし方をする必要は無くなるはずだ。
躊躇せず目一杯の速度で車は移動していく。
もちろん乗員の体に負担がかからないように、滑らかにGがかかるよう考慮された動きになるだろう。

Gの制御まではできないが、加速や減速は滑らかだし、路面の凹凸の揺れは完全に制御され、音もなくガラスの上を滑るような動きになるはずだ。
人間が自分で運転することがない車は、もっぱら如何に乗り心地が優れているかを競うようになるだろう。
移動速度は全般に上がり、高速での巡行速度も時速100キロという事はなく、150キロや200キロになるだろう。
市街地では人が飛び出す可能性があるので慎重な動きになるだろうが、やがては歩行者と自動車の通行路はある程度分けられ、より安全性が高く効率的に車が移動できる街作りになっていくはずだ。

現在でも自動車はもっとも身近な乗り物であるが、さらに安全で便利で快適な乗り物へと進化する。
何しろ事故の可能性はゼロに近く、ゆったりと座っているうちに、自宅から目的地までドア・トゥ・ドアで人間を運んでくれるのだ。
しかも速度も驚くほど速い。
都内での移動なら、例えば銀座から新宿まで5分程度で行ってしまうのではないか。

そうなると割を食うのは電車である。
駅まで歩いて行かなければならず、運行する時間が決まっていて、しかも余計な駅にストップする。
線路が地上を走れば膨大な土地を占有することにもなる。
こんなに不便な乗り物は無い。

電車のメリットは一度に大勢の人間を運ぶのでコストが安く済む・・という事だが、満員電車に人が詰め込まれて移動する姿自体が前時代的であるし、かといってガラガラであれば効率は落ちてしまう。
案外車の自動運転という革命により、世の中から無くなるのは電車かもしれない。
そうなると駅のそばに住んでいても意味はないな・・・
そんなことを考えながら運転を続けた。
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