消えたお店


SIGMA DP1Merrill

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ドイツでの仕事は今日で終了した。
明日は移動日でスイスに向かう。
知り合いのメーカーのレセプションに参加するのだ。

仕事で来ているのだから当然であるが、写真は思ったほど撮っていない。
時間がない上、天気も悪いのだから仕方がない。
午前中一時的に雲の合間から光がさす事もあるのだが、午後には重い雲が立ち込め雨が降ってくる。

展示会場に行く前に、町を少し歩いてみた。
かつて何度か来ていて、行きつけのお店が何軒かあるのだ。
しかしそれらの多くが無くなっていた。
考えてみたら、前回来たのは十数年前の話なのだから、これも仕方がないのか・・・

お気に入りだった大きな玩具屋さんの建物は跡形もなく、その場所にはデパートが建っていた。
あのお店には、ヨーロッパならではの古典的でグロテスクな玩具が置いてあった。
鉄道模型のコーナーの店員さんは、僕の言う細かい仕様を一発で理解してくれ、気心が通じていた。

音楽関係の書籍を扱っていたお店は、スターバックスになっていた。
あそこではマーラーの楽譜や文献などを買った。
普通は手に入らないような書籍が置いてあった。

カメラ屋さんは生き残っていたが、置いてあるものはほとんど日本製である。
ライカのレンズなど、下手をすれば日本の方が安いし、今更それほど欲しいとは思わない。
前回来た時に、シュタイナーの双眼鏡を買ったのを思い出した。

どのお店も、仮に今行ったとしても買うものはないだろう。
ヘルパのスケールモデルを集めるのはやめてしまったし、最近は真面目に音楽を聴くこともない。
カメラに至っては、考えてみれば前回来た時はまだフィルムの時代だ(笑)
お店も無くなったが、こちらも変わったということだ。

そればかりか、歩き回っても、何一つ買いたいものがなかった。
かつてのような「見たことのないもの」がひとつもみつからないのだ。
ここにあって、東京にないもの・・が何もない。
食事以外で、お金を使うことがまったくない。
これには自分でも驚いた。

時代が変わったということだろう。
インターネットの発展が、まさにこの十数年で起きた大革命である。
何でも安く簡単に手に入るようになった。

しかしもっと本質的な変化は、これ以上モノはいらない・・ということなのだろう。
価値観が変化し、これからの社会の在り方が根底から変わろうとしている。
難しい時代である。
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