Tポイントカード


SIGMA DP2 Merrill

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「Tポイントカードありますか?」
買い物のたびに、あちこちの店で聞かれる。

ポイントを貯めれば、きっと何か得なことがあるのだろうが、財布からカードを出すのが面倒くさい。
レジで処理するのに要するであろう時間も、何だか勿体無い。

その労力に見合うだけの特典があるのかな・・なんて思いながら
「持っているけど、出すのが面倒だから、いいです」
とストレートに断ろうかと考える。

しかし、そんなに長いセリフを言わなければならないのも、けっこうな労力である。
先方から「そんな事言わずに、貯めておくと、きっといいことがありますよ」なんて、諭される可能性を想像すると気が重くなる。
たかがカード1枚のために、そういう自分の望んでいないやり取りを強いられること自体が嫌だ。

だから
「ありません」
と言って、その場を終わらせようとする。

ところが手にした財布のカード入れに、青と黄色のマークのカードが入っているのがしっかりと見える。
店員が何か言いたげに、ちらりとそれを見たのに気付く。
気まずい時間が流れ、その精神的苦痛の耐え難さに、また不快な思いをする。

買い物のプライベートな情報が先方に筒抜けになる・・ということで、このカードが問題になっている。
薬局でどんな薬を買ったか、レンタルショップでどんなDVDを借りたか・・などの情報が、メーカーに知られてしまい、販促に利用されるという。

このカードとは直接関係ないが、意外にあちこちで、偶然知人の個人情報を見てしまった、という話を聞く。
個人情報は慎重に扱うなどというが、人の情報を別の人間が見ることに違いはない。
心の中にしまっておく、とは言っても、知り合いなら何かしら関係に影響を及ぼすだろう。
他人だとしても、知った瞬間に他人ではなくなる・・ともいえるのだ。

それはともかく、僕の場合、ただカードを出すのが面倒なだけだ。
全然次元の違う話なのだ。

最近は「Tポイントカードありますか?」と言われて、ありません、と答えるのも嫌になってきた。
何しろ実際には持っているのだから、嘘をついていることになり、善良な僕は精神的ダメージを受けてしまうのだ。
どうしたらいいか、いろいろ考えたのだが、とりあえず頭を軽く左右に振って、否定する意思を相手に柔らかく伝えることにした。

きっと僕と同じような人が、けっこういるのだろう。
「持ってはいるけれど、それをわざわざ財布から出して、ポイントを付けてもらう処理をする手間を考えると、このまま何もしないで立ち去るほうを私は選びます」
あるいは
「カードにポイントを付けて欲しくて、私は生きているわけじゃないんだ」
というこちらの意思表示を、店員さんも察してくれるようになった。

というか、カードをさっさと処分してしまった方が早いことに、今気付いた。
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