ボール


D3X + AF-S NIKKOR 35mm f/1.4G

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目眩のするような陽射しの坂を、汗を拭きながら下りていくと、広いグラウンドに出た。
熊蝉の騒々しい鳴き声が、いつの間にか青空に溶け込んで、意識から消えていく。
その静けさの中で、三人の少年が遊んでいた。

少年たちの、訛りのあるかけ声が、笑い声とともに伝わってくる。
青空に沸き立つ雲と、眩しさをものともしない少年とのコントラストに、しばらく見とれて立ち止まっていた。
懐かしさばかりでなく、新鮮ささえ感じた。

ふたたび歩き始めた僕の足元に、ボールが転がってきた。
「カメラさん、ボールとってぇ」
少年が叫んだ。

苦笑いをしながらボールを投げると、ゴロになって少年の元に戻っていった。
頭を下げる少年を後に、僕はグラウンドを出た。
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