ハスキー 1


LEICA X1

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結婚した頃、Mrs.COLKIDは実家でハスキー犬を飼っていた。
生まれたばかりの子犬を、いらないから殺してしまうと聞き、かわいそうだからと貰い受け、リュックで背負って田舎に連れて行ったのだそうだ。
自分は東京に住んでいるが、犬は那須の両親に預け、たまに会いに帰っていた。

私のかわいい犬だと紹介されたが、目が笑っていなくて気味の悪い犬であった。
攻撃するような目付きで近寄ってくるので、こちらは警戒を解くことができないのだ。
Mrs.COLKIDは犬を飼う経験に乏しいので、こういうものだと思っていたようだが、普通の犬を何匹も飼ってきた僕には、何を考えているのかわからない難しい犬であった。

しかし犬の方は悪気があるわけでは無いようで、目付きこそ険しいが、手を出すとペロリと舐めたりする。
しばらくそばで相手をしていると、だんだんと慣れてきて、時にはじゃれ付いてきたりもする。
だが何しろ力が強いので、油断すると怪我をしかねない。

本来が橇を引くための犬なのだから当然だが、とにかく引っ張る力は凄まじくて、喜んで走り出したりすると、大きな犬小屋ごと引きずって行ってしまう。
それでいて目の前に置いてあったバイクが、夜中のうちに誰かに盗まれた時は、一声も発さなかった。
色々な意味で困る犬であった。

那須の山の中は、ハスキーにとっては天国であったろうと思う。
野山を駆ける姿は、事実上オオカミであった(笑)
近隣の犬たちはその迫力の前に屈し、みな尻尾を巻いてしまう。
毎年の注射の時など、多くの犬の集まった広場に義父がハスキーを従えて行くと、周りの犬たちが頭を下げ、まさに王様なみの扱いであったという。

今はもうその犬も死んで、義父が山の中にお墓を作って埋めた。
えらく立派な墓で、畑の脇の竹やぶの中に6畳ほどの広場を作り、その中央に置かれた墓石の下にひっそりと眠っている。
山の中に撮影に行った時、時折ひとりでお墓参りをするが、東京に住む人間よりよほど立派な墓であると感心する。
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