シネマ日記

超映画オタクによるオタク的になり過ぎないシネマ日記。基本的にネタバレありですのでご注意ください。

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星守る犬(原作本)

2010-11-15 | 

普段、ワタクシはほとんどの小説の情報を映画から得ているので、たいがい本を読むのは映画を見てからというパターンが多いのだけど、この本はずっと前に読んでいて、この夏に映画化が決定したものだ。

映画の公開は来年になるみたいだから、これから映画を見る可能性のある方には多少のネタバレになるかもしれない。

家族から見捨てられたお父さんと一緒に旅をする犬ハッピー。お父さんは病気で、財布も途中で盗まれてお金もない。そんな中ハッピーも病気になってしまい、お父さんはハッピーの手術代のために残り少ない持ち物も全部リサイクルに出してしまう。何も持たず、あるのは家替わりの車一台。ついにお父さんも病気で死んでしまう。

これはコミックなんだけどページ数も短いし、話自体も1パラグラフで説明できる程度のものだけど、これ映画にするには結構他にいろいろ付け加えないといけないと思うけどなぁ。でも、この話にいろいろ付け加えてしまうと面白くなくなりそう。このシンプルさが良いんだと思うけどな~。ここんとこ、日本映画界ではやたらと“犬もの”が多いけど、本当に良い映画は少ないなぁ。これも原作が好きなだけにちょっと怖い気がする。

この話、多分賛否両論あると思う。このお父さんは自分が病気だと分かっているのだから、犬がもっと生きられることを考えたら、ハッピーのために里親を探してやるべきだったと考える人もいるだろう。そうすればハッピーだってもっと長く生きられただろう。その考え方ももちろんよく分かるし、どちらが正しいかと言われれば、お父さんの行動よりそのほうが正しいのかもしれない。でもね、ワタクシはお父さんのした選択を責められないな。そして、このハッピーの健気さが泣けるんだよなー。犬はどこまでもまっすぐに飼い主を見ている。だからこそ、お父さんと一緒にいられたハッピーは幸せだったんじゃないか。そう決めつけるのは人間のエゴだけれど、残念なことに野生からペットとなった犬は、もはや人間のエゴの元でしか暮らせない。犬の「本当の幸せ」なんて誰にも分からないけど、この本を読む限り、この物語のハッピーは確実に幸せだったと思う。

実はこのお話は2部構成になっていて、車で亡くなったお父さんの遺体を処理するケースワーカーの話が次に描かれている。彼も実は犬に思い出があって、お父さんとハッピーの死に立ち会うことで、自分が飼っていた犬のことを思い出す。

子供のころおじいさんが連れてきた犬の世話をするのが面倒になって、遊びに誘ってくる犬の鼻っ面にわざとボールをぶつけたとき、犬はほんの少しも怒らずに「ごめんなさい。いまのゲームのルールが分からないんです」という瞳で見つめ返してくる。

このエピソードのところは何回読んでも泣けてくる。ここでも、犬はどこまでもまっすぐに飼い主を見ている。彼らにとって飼い主は世界のすべてなのだ。

2話目も決して良い飼い主の話ではないんです。だから、またこれに怒りを覚える読者の方もいるかもしれないな。でもワタクシはやっぱり2話目も好きです。子供のときに犬を飼うって結構そんなもんってとこあるもんな。ダメなんだろうけど、綺麗事だけじゃないところが好き。

ワタクシは3年前から犬を初めて飼い始めた。もし、犬を飼ったことがないままこの話を読んでもあんまり感動はしなかったかもしれない。犬たちが本当に飼い主をまっすぐに見ていて、飼い主がその世界のすべてであるということを身を持って体験したからこそ、何回読んでも涙なくしてはこの物語を読めなくなった。


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