シネマ日記

超映画オタクによるオタク的になり過ぎないシネマ日記。基本的にネタバレありですのでご注意ください。

ジェインオースティンの読書会

2012-09-13 | シネマ さ行

公開当時見たかったのだけど見逃していた作品をケーブルテレビで見ました。

愛犬を亡くしたジョスリンマリアベロを元気づけるために親友のバーナデットキャサリンベイカーはジェインオースティンの読書会をしようと思いつく。偶然ジェインオースティン映画祭で知り合ったフランス語教師のプルーディエミリーブラント、もう一人の親友シルヴィアエイミーブレネマン、その娘アレグラマギーグレイスを誘うが、読書会をしたい本は6冊、メンバーは5人。そこでジョスリンが街で知り合ったグリッグヒューダンシーに声をかけて彼も参加することになる。

ジョスリン:担当「エマ」ずっと独身を通してきたジョスリンは、一人でも寂しくないと言うが恋は私にはあまりにフィクションと言い、一歩踏み出すのが怖いのかも。グリッグと離婚したばかりのシルヴィアをくっつけようとしていて、恋のキューピッドを務めるエマのよう。

シルヴィア:担当「マンスフィールドパーク」20年連れ添い子供も3人いる夫ダニエルジミースミッツに愛人ができ離婚を言い渡されたばかり。最初は落ち込むシルヴィアに恋バナのジェインオースティンの読書会ができるのか。

バーナデット:担当「高慢と偏見」過去に6回も結婚経験があるバーナデットは、みんなの母親的存在でこの読書会をまとめている。6回も結婚してこりごりかと思いきやまだ結婚したい気持ちがあるという奔放な面がある魅力的な女性。

アレグラ:担当「分別と多感」シルヴィアの娘でオープンゲイのアレグラは恋に落ちやすく、エクストリームスポーツが好きな激情型。「分別と多感」のマリアンと重なるのかな。

グリッグ:担当「ノーサンガーアビー」普段はSF小説にしか興味がなくこの読書会のためにジェインオースティン全集を買い6作の続き物だと思っていた程度の知識しかないのにこの読書会に参加したのは、ジョスリンに気があったから。それなのに、ジョスリンにはシルヴィアを誘うようにしつこく言われてしまう。果たしてジョスリンに本当の気持ちを話す勇気が出るのか。

プルーディ:担当「説得」高校のフランス語教師で生徒の一人トレイケヴィンゼガーズに恋をしてしまっているプルーディはそのせいもあってかスポーツ大好きの所謂絵に描いたような“男”である夫ディーンマークブルカスと最近うまくいっていない。読書会でも一人だけちょっと浮いている感のある彼女だが、この会のせいで夫と離婚するのか、それともこの会のおかげでやり直せるのか。

ジェインオースティンって長編小説はたった6冊なんですね。だから、読書会も6人で1冊ずつ担当して6回開催されると。ワタクシはこのうち半分しか読んでいませんが、一応ジェインオースティンがどんな感じの作家かというのは知っているので十分に楽しめました。ワタクシよりずっと詳しい方が見ればもっと深いところで楽しめるんだろうなと思いつつ。ジェインオースティンをまったく知らない人が見るとどうなんですかねー。やっぱり少しでも知っていたほうが楽しめると思います。

ジェインオースティンについての評価はいろいろだろうし、好みも分かれるでしょうけど、ワタクシは彼女の登場人物に向ける優しさが好きです。田舎の中流家庭の娘が紆余曲折の末結婚するというある一定の型があるんですが、その紆余曲折が巧みに描かれていて女性の描き方もさまざまですが、どの主人公に対してもジェインオースティンの優しいまなざしを感じます。

その小説の雰囲気にそのまま現代の映画の息を吹きかけたのがこの作品という感じ。どの女性も悩みは抱えているけれども、みんな愛しく感じる登場人物たちです。そして、この読書会は月に1度行われることになっているので、物語がとてもゆったり進んでいくのもまるで小説のページをめくるようでとても楽しいです。バーナデットが言っていたように、ジェインオースティンが6冊以上書いてくれていたら良かったのにと思うほど、いつまでも続いていてほしいような気持になってきます。

個々の話としてはジョスリンとグリッグはくっつくんだろうとは分かっていても、もどかしくてちょっとイライラしつつも、なんだか自然にくっついた感じが良かったな。グリッグを演じたヒューダンシーがまさに年下のキュートガイって感じで、全然嫌味がなくて爽やかで非常に好感が持てました。

シルヴィアが夫とヨリを戻したのは、まぁ彼女としては良かったのかな。愛人作って出て行った夫が愛人とうまく行かなくなったからって戻ってくるのはどうよ?っていう気がしましたが、これもジェインオースティンっぽいと言えばそうなんでしょう。

一番どうなるのか分からなかったプルーディですが、生徒との不倫に走りそうになったときの"What Would Jane Do?"っていうサインが良かったですね。これは「誰々だったらどうすると思うか?」という英語ではよくある表現なんで、自分が尊敬している人とかの名前を当てはめて誰々だったらどうするか?を考えて行動するというやつです。あそこで「ジェインならどうするか?」と問われたら、、、
実はこの作品の予告編を見たことがなくて、作品を見たあとにネットで見たんですが、この"What Would Jane Do?"とプルーディがサインを見るシーンが予告編に入っているんですよね。これは非常に残念です。なぜって、「ジェインならどうするか?」ってプルーディが考えたのならその結果彼女がどうしたのか、ジェインオースティンを知っている人なら答えが分かってしまうのですから。ワタクシは先に予告編を見ていなくて良かったです。
プルーディを演じているのは最近ハリウッドでもひっぱりだこのエミリーブラント。彼女のキャリアが一気に花咲く一歩手前な感じの時期ですかね。現在の彼女とは違う印象のおかっぱでちょっと暗い感じのするプルーディを非常にうまく演じていて、やはり演技力のしっかりした人だなと思いました。

特に変な人も出てこなくて、登場人物全員がまさに等身大のどこにでもいる人たちといった感じなのが非常に好感が持てました。なんかねー、ワタクシも読書会やってみたくなっちゃいました。少しでもジェインオースティンに興味のある方にはかなりオススメします。



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