シネマ日記

超映画オタクによるオタク的になり過ぎないシネマ日記。基本的にネタバレありですのでご注意ください。

鍵泥棒のメソッド

2014-08-05 | シネマ か行

ケーブルテレビで見ました。正直言って堺雅人香川照之の2人とも好きじゃないんですが、公開当時話題になっていた作品だしな、と思って見ることにしました。と思ったら「アフタースクール」内田けんじ監督の作品だったんですね。確かに今回もそんな雰囲気だったな。

売れない役者の桜井武史(堺)は自殺を図ろうとするが失敗し、ふらっと行った銭湯で、コンドウ(香川)がつるっと滑ってひっくり返ったところに遭遇し、とっさに彼のロッカーの鍵と自分のロッカーの鍵を入れ替えてしまう。この時どうして桜井がそんなことをしたのか分からないんだけど、自殺にすら失敗するような人生をコンドウの人生と入れ替えたくて思わずロッカーの鍵を盗ったのかなと思った。

さて、コンドウの服を着て荷物を調べると高級車のキーが出てくる。免許証から家に行ってみるとこれまた豪勢なマンション。コンドウという男、どうやらリッチな奴らしい。それでも次の日ちゃんと荷物を返してやろうとコンドウが運ばれた病院に行ってみた桜井。コンドウを見舞うとなんと彼は銭湯で頭を打って記憶喪失。桜井は渡りに船とばかりにコンドウのリッチな生活を続けることにする。

一方コンドウのほうは記憶はないが、身体は大丈夫ということで退院させられる。これまた残された荷物を頼りに家に帰ろうとするが周辺のことも分からず道を尋ねてみたのが、父親の見舞いに来ていた水嶋香苗広末涼子。香苗は親切にもコンドウを桜井の家まで送ってくれる。家に入り色々と物色してみて、桜井のことを自分自身だと誤解するコンドウ。少しの手がかりから自分が何者か探ろうとし、香苗も手伝ってやることにした。

この水嶋香苗という女性。雑誌の編集者をしているが一風変わったところのある女性で、自分で勝手に「私結婚することにしました」と宣言して、相手もいないのに結婚式の日取りだけ決めちゃっていた。いままで自分で計画してできなかったことはなかったそうだ。

コンドウになりきってリッチな生活をしている桜井のところにヤクザの親分・工藤荒川良々から連絡が入る。なんとコンドウという男、実は殺し屋だと言うのだ。

一方自分を桜井だと思っているコンドウのほうは、実にマメな性格で、自分が役者であるならきちんと演技の勉強をしよう、とか、自分はどんな食べ物が好きである、とか、細々とノートにびっしり書き込んで記憶を取り戻そうと頑張っていた。香苗とも徐々に親しくなっていき、香苗の結婚計画の相手として有力な候補になっていく。

そんな時ふとしたことをきっかけにコンドウの記憶が戻る。当然思い出したのは自分に成りすましているであろう桜井のこと。桜井を問い詰めに行くと桜井は依頼相手のヤクザと面倒なことになっていた。自分の為にもこのピンチを切り抜ける必要があるコンドウ。さて、コンドウはどうするのか?

この前半で色々と種を蒔いておいて後半でキレイに刈り取って行くというのが内田けんじ監督の得意とするところですね。パターン的には似ていますが「アフタースクール」よりこっちのほうが話のややこしさは全然なかったです。

香川照之が記憶喪失の時と殺し屋として行動する時が全然別人のようでやはり演技力が素晴らしかったです。広末涼子もなんだか素っ頓狂な役で可愛らしかった。すごくナイスキャスティングだと思いました。

結構笑えるシーンはいっぱいあったんですが、ヤクザから逃れるために一芝居打とうと、コンドウが役者である桜井に芝居をつけるところが一番ウケました。コンドウはなんでも真面目にそつなく器用にこなしてしまう人で、それとは対照的に桜井はちゃらんぽらんな人間で、その2人のキャラクターの違いがうまく笑いを呼んでいました。

内田監督はオリジナル脚本にこだわって映画を作り出しているようですね。彼の非常に細かいところまできちんと収拾させていく脚本にはとても感心させられます。なんだかんだ言ってほんわりハッピーエンドというところも気に入りました。なんか全然あり得ないんだけど、あり得そうな気がしてしまう不思議な脚本でした。これからもとても楽しみな監督さんです。



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