シネマ日記

超映画オタクによるオタク的になり過ぎないシネマ日記。基本的にネタバレありですのでご注意ください。

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いのちの食べかた

2008-02-21 | シネマ あ行
これも予告編で強烈な印象を受け、もし時間が合えばぜひ見たいと思っていた作品です。大阪の十三(ジュウサンではなくてジュウソウと読みます)というところにある第七芸術劇場(通称:ナナゲイ)というところで上映していました。この映画館はここ何年かで映画ファン以外の方でも気軽に行けるようになってきた単館系シアターと呼ばれるところよりももっとコアな雰囲気の作品を上映しています。一日に順番に何作品も上映しているのですが、仕事終わりで行くにはなかなか時間が合いません。18時か19時台にうまく見たい作品を上映してくれればいいのですが。。。ワタクシが見たいと思う作品を夕方にやってくれなんて勝手なお願いですね。というわけで、うまく時間が合ったときにはチャンスとばかりに見に参ります。

さて、この作品。「いのちの食べかた」です。ワタクシたちが日々食している物がどのように生産されているのかを淡々と見せるドキュメンタリー。人口のハウスの中で伸びていく植物。日本の農場では考えられないような巨大なトラクターで刈り入れされる野菜。ベルトコンベアーを流れていくヒヨコ。ドーナツ状の機械に乗せられて搾乳される牛。機械化された牛の種付け、出産、屠殺、解体。その間に挟まれる従業員たちの食事風景。少しほのぼのした映像もショッキングな映像もただただ淡々とナレーションもセリフもなく進んでいく。聞こえるのは機械の音、従業員の話し声、動物の鳴き声だけ。

植物はまだしも、動物の屠殺、解体シーンなんて完全にタブー化されたものを映像化したニコラウスゲイハルター監督は確かにすごいと思う。ナレーションを完全に排除したのも、観客の判断にすべてをゆだねるという意図があるからだと思う。が、しかし、「映画」として残念ながらかなりキツイ。これを家でテレビで見て、一緒にいる人となんだかんだと話をしながら見られるならばいいだろう。でも、これを映画館で黙って見ろと言われるのはかなり厳しい。判断は観客にゆだねるとしても、せめて多少の説明をナレーションで入れてくれないと、ヒヨコを選別しているのが何が基準なのか、牛の種付けも何をパソコンで見ているのか全然分からない。ブタの屠殺も実際どういうふうにされているのか、見ているだけではよく分からなかった。それぞれに説明がないので結局、どうしても屠殺や解体といったショッキングなシーンだけがのちのち印象に残ってしまった。

屠殺のシーンというのは案外ワタクシにとってはショッキングではなかった。話に聞いていたとおりというところか。それよりも、食用牛たちの異常な太り方、完全に手間を省いた出産のさせ方、そしてやっぱり実際に解体のときに流れる血というものがショッキングだった。映像では匂いというものが伝わらないが、実際の匂いは想像を絶するものだろう。

こういうテーマになると、必ず思うことがある。動物が食用として殺されるシーンは確かにショッキングだ。叫び声も聞こえる。そこには命を殺して食すという実感がある。一方、植物はどうだろう。野菜や果物は刈り取られるとき、叫び声もあげないし、苦痛の表情もしない。痛くはないのかもしれないけど。命を殺しているという実感がそこにはない。ベジタリアンの方にはいろいろな信条があるし、何を食べようと食べまいと他人の勝手だけど、命を殺して食べるのはイヤだという人にとって、植物は命ではないのかな?こんなこと、どちらの命も殺して食べているワタクシに言われたくはないだろうけど。責めているわけではなく単純な疑問なのでケンカ腰の議論はかんべん願いたい。

くじらのことで怒っているオーストラリア人たちも、この映画を見て自分の国の屠殺場に行って見るといいんじゃないかなー。なぁんてちょっと挑発的なことを書いてみたくなるような作品でありました。

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