シネマ日記

超映画オタクによるオタク的になり過ぎないシネマ日記。基本的にネタバレありですのでご注意ください。

とらわれて夏

2014-05-07 | シネマ た行

普段完全な恋愛映画というのはそんなに見ないほうなのですが、これは大好きなケイトウィンスレット主演ということで見に行くつもりにしていたら、何かで応募したらムビチケが当たったので超ラッキーでした。

9月初め新学期が始まる直前の週末、シングルマザーのアデル(ウィンスレット)と13歳の一人息子ヘンリーガトリングリフィスがスーパーで買い物をしていると、お腹から血を流した男・フランクジョッシュブローリンがヘンリーに俺を車に乗せて家まで行けと脅して来る。ヘンリーを守りたい一心でアデルはフランクを車に乗せ自宅へと連れて行く。ニュースでは盲腸の手術直後に窓から飛び降りて脱走した男のことを報じていた。男は殺人の罪で服役中の重罪犯だと言う。

フランクは脱獄は本当だが、自分が犯した罪はテレビが言うような酷いものではないと言い、親子には危害は加えないから明日電車に乗って遠くの町へ行くまで今晩一晩だけ泊めてくれと言う。そして、自分をかくまったことがバレたとき罪に問われないようにアデルをイスに縛り、フランクは料理を始めた。イスにしばりつけたアデルの口にスプーンで料理を運ぶフランク。

出て行く約束の次の朝になったが祝日で電車が通らない。フランクは親子に朝ごはんを作り、男手がなくほったらかしだった家や車の修理を始めた。

ヘンリーの父親と離婚する前から情緒不安定気味だった母のアデル。ヘンリーはその分しっかりしなくては、とアデルの夫の役割も果たそうとしてきたが、やはり13歳の少年にはそれはまだ重荷だった。そんなところへやってきた頼りがいのあるフランク。家の修理だけでなく、タイヤの交換に仕方や野球の仕方も教えてくれた。

しかも、このフランク、そういう男らしい側面だけではなくて料理が上手。最初に作ってくれた昼ご飯も朝ご飯も絶品で、近所の人がくれた大量のモモを使ってピーチパイの作り方までこの親子に伝授。ずっと一人で不安を隠しながらヘンリーを育ててきたアデルが魅かれるのも当然である。このピーチパイのシーンがめちゃくちゃベタなんだけど、アデルとフランクの2人っきりではなくてそこにヘンリーもいるから、ちょっと変則的なベタになっていていいですね。アデルとフランクが魅かれて行くのは必然で、そんなにじっくりは描かれないのですが、仕方ないのよ、だってフランク脱獄犯だから、なんせ時間がないのですよ。

この13歳の少年ヘンリーが、自分も性の目覚めを感じつつ、母が女としてもう一度開花するのを目の当たりにしていくという、ちょっぴり複雑な気持ちになる設定なのですが、それを開花させるのがフランクというヘンリーも憧れを抱く男性だったのでうまくいったんでしょうね。そうでなければ、同級生のおませな女子に焚き付けられたヘンリーが警察にちくったりしちゃうところだったんだろうけど、そうはならないのを説得力を持って描くためにはやはりフランクの魅力を存分に見せる必要がありました。そして、それは大成功していたと思います。正直、ジョッシュブローリンがあんなにかっこよく見える日が来ようとは予想だにしていませんでしたよ。だいたい刑事かワル役が多い彼。ここまでロマンティックな役は最初で最後ではないでしょうか?と言ったらファンの人に怒られるかな。

こういう繊細でちょっと小ダサイおばさんを演じさせたらこの世代でケイトウィンスレットの右に出る者はいません。それでいて、色気もある部分も演じなければいけませんから難しい役だと思いますが、やはりそこは彼女の得意とする分野と言っていいでしょう。彼女にはいまのまま自然に年を取って行ってほしいと思います。

アデルとフランクはヘンリーを連れてカナダに逃げようと決意します。しかし、近所の人にフランクのことを通報され・・・

ここでの展開の可能性は2つ。蜂の巣になるか捕まるか。ですよね。よくある映画の展開では蜂の巣パターンだと思うのですよ。でもこのお話はそうじゃない。そうじゃないところがすごく良かったなぁ。やっぱりアデルとフランクには幸せになってほしかったから。

フランクと過ごしたたった5日間。これがアデルとヘンリーの人生を変えました。アデルはもちろんなんですが、ヘンリーの人生を大きく変えたというところがとても良かったと思います。その後のヘンリーの人生を流しているシーンではなんだか涙が止まりませんでした。

最後、アデルはもう死んじゃってるとかそういうのなのかなぁと思ってドキドキしながら見ていたら、ちゃんとハッピーエンドだったから良かったー。ロマンチックな作品がお好きな方にはオススメです。



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