シネマ日記

超映画オタクによるオタク的になり過ぎないシネマ日記。基本的にネタバレありですのでご注意ください。

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オンザハイウェイ

2015-07-09 | シネマ あ行

「チャイルド44」と同じ日に見ました。偶然主演がどちらもトムハーディ。こちらは2013年の作品なので「マッドマックス」でトムハーディが日本でも広く認識されたと踏んでの公開なのかな。

ワタクシは「ダークナイトライジング」でトムハーディを認識したので、それ以前の出演作は見ているものもありますが今から振り返って、あ、出てたんだって感じです。「ダークナイトライジング」以降の4本は全部見ていますが、この作品のトムハーディには少しびっくりしました。いままでワタクシが知っているトムハーディってほとんどセリフがないか、あっても"mmmmm...."とかそういうのがやたらと多くて。ところがこの作品は一人芝居。一人芝居で黙っているわけにいきませんよね。というわけでトムハーディ一人で出ずっぱりのしゃべりっぱなしです。あ、この人こんな普通の役もできるんやって感じ。しかもそのしゃべりっぱなしが彼本来のイギリス英語のまんまだったので、これも彼の作品では珍しかったです。

夜仕事を終えて一人の建築作業員アイヴァンロック(ハーディ)が車に乗り込む。BMWの高級車。ん?一介の建築作業員にしてはえらいええ車乗ってんなぁ。と思ったら、しばらくすると彼がただの建築作業員ではなく大手建築会社の現場監督だということが分かる。しかも、核施設を除けばヨーロッパ最大規模の工事になるであろう今回の建物の監督だから、相当優秀な現場監督なのだろう。

アイヴァンは一本の電話を受け、家に向かう道とは反対方向に車を走らせる。仕事仲間には明日仕事に行けなくなったことを伝え、家で待っている子供たちには今晩は一緒にサッカーの試合を見られなくなったと伝える。彼の向かう先は病院。身内に何かあったのか?86分間ずーーーーっと運転しながら電話で話しているアイヴァンだけが映し出され、彼の半生が見えてくる。

電話の相手は次々に変わる。一度切ってはまた別の相手からかかってくる。こちらからまた別の相手にかける。職場の部下ドナルアンドリュースコット、上司ガレスベンダニエルズ、子供たち(エディトムホランドとショーンビルミルナー)、妻カトリーナルースウィルソン、そして彼が車を飛ばす先にいる女性。この女性がアイヴァンの人生を180度変えてしまった人。数か月前出張先で一度だけ浮気した相手が今晩彼の子どもを産もうとしている。彼には浮気相手への愛などない。たった一度の過ちだった。それでもその女性ベッサンオリヴィアコールマンは子供を産むと言ったのでせめて生まれてくる子には誠実でいようと出産に立ち会うことにした。

そのせいで明日は仕事に行けない。彼の住む町からベッサンの住むロンドンは遠い。夜中に車を飛ばして出産に立ち会い明日仕事に出るのは無理だ。明日はその核施設を除けばヨーロッパ最大規模の建物の基礎となるコンクリートを入れる大事な大事な日だ。アイヴァン自身もこの日のために様々な準備をしてきた。だが、アイヴァンは自分の信念に基づいて生まれてくる赤ちゃんを最優先にすることを選んだ。自分の父親のようにならないために。部下ドナルが自分の代わりを果たせるように事細かに指示を出すアイヴァン。上司からはクビを言い渡されたがそれでも明日の作業だけはきちんと成功させると意気込んでいる。

一緒にサッカーの試合をテレビ観戦できなくなった子どもたちに謝りつつ、妻カトリーナに今回の事態を電話で説明するアイヴァン。いままで何か月も言いだすチャンスはあったが、こんなギリギリまで言いだせずにいた。たった一度の過ち。妻は許してくれると思っているアイヴァン。しかし、ゼロと1の間には大きな隔たりがあるとカトリーナは言う。

電話と電話の合間に彼が一人で話す空想の相手は父親。自分はそうはなりたくないと思っていた不誠実な父と同じようになってしまっているのか。いや、違う。自分は3人の子すべてに誠実に生きていくつもりだ。お前とは違う。お前とは違う。呪文のように自分に言い聞かせるアイヴァン。

ってーーーーー無理。もう妻を裏切った時点で子供も裏切ってるんだし、愛人の子供に誠実であろうとすれば妻の子を裏切ることになるし、逆もまたしかり。都合よく八方まあるくなんて無理よ。まぁそれでもできる限り誠実でいようとするアイヴァンは少し憐れにも見えましたが。

結局物語自体は大したオチはないんだけど、最初仕事を終えて車に乗り込んだときのアイヴァンは一般的に男性が望むようなものをすべて手にしていたのに、最後にはすべて失くしていたということかな。とはいえ、ここでアイヴァンの人生が終わったわけではなくここからまたアイヴァンの人生の再構築が始まるんだなと感じました。

終わったときは、はぁ?なんじゃこりゃ。ソリッドものならソリッドものらしく、もうちょっと大どんでん返しとかびっくりするようなオチとかにしてよ。と思ったのですが、後から考えてみるとトムハーディ以外の役者さんはフラッシュバックや写真すら何も登場していないのに、全員の見た目のイメージとかアイヴァンに言われたことへ反応するときの表情とかそういうのまでちゃんと情景としてこちらの頭に浮かんでいたっていうのはすごいなぁと思い直しました。それってやっぱり演出のすごさなのかな、と。そういう意味では結構やるやん。ってな作品だったのかもしれません。ただお話そのものは特にどうってことはないのでトムハーディが嫌いな人にはきつい作品だと思います。


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