シネマ日記

超映画オタクによるオタク的になり過ぎないシネマ日記。基本的にネタバレありですのでご注意ください。

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パリ20区、僕たちのクラス

2012-06-15 | シネマ は行

カンヌ国際映画祭でパルムドールに輝いた作品。パリ20区にある、とある中学校の1年間の国語の授業をドキュメンタリー風に描く。

パリの20区というのがどんなところなのか知らないけれど、この学校の生徒たちを見る限りでは移民の多い地域だということが分かる。アフリカ系、中東系、中国系と色んな人種、宗教の生徒がいるし、生徒の中でもまだフランス語が苦手な子もいるし、保護者の中にはフランス語がまったく話せない人もいるようだ。

そんなクラスの担任であり国語教師であるフランソワベゴドーはこの作品の原作を書いた人物でもある。

全然予備知識がなく見始めたワタクシは、「ん?これってドキュメンタリー?それにしてはカメラワークがしっかりしてるなぁ」と思いました。たとえば二人で話しているシーンなどで、どちらの話し手側からもカメラが向けられていて、ドキュメンタリーでは不可能なカメラワークになっていました。

ぶっちゃけ全部見終わった後「で?」と思ってしまった作品だったんですが、やっぱりこれがドキュメンタリーではなくて「ドキュメンタリー風」ということを考えるとそのリアルさに舌を巻かずにはいられなかったんです。この先生と生徒たちのやり取りがリアル過ぎる。先生役の人はまぁ大人だからうまいのはいいとしても生徒一人一人のリアルな演技がすごいです。しかもそれが全然演技っぽくなくて、本当にもし定点カメラなんかで撮影されたものだったら本物のドキュメンタリーだと思ってしまったと思います。

それはひとえに撮影前に行われた7か月間にも及ぶワークショップの賜物なのでしょう。生徒たちは自分自身のようなキャラクターを演じているのではなく、全然自分とは違ったキャラクターを演じているというのですから、これまたオドロキです。

ドキュメンタリー風ですから、きちんと脚本があって生徒たちはセリフをしゃべっているわけですから、これがどこまで実際のフランスの中学校の現実に沿っているのかは分かりませんが、フランソワベゴドーが実際に教師をしていた体験から書かれているものですから、それもかなりリアルなものなのかな。教室で中学生があそこまで自分の意見をしっかり言うというのは日本ではかなり珍しい光景ではないかなぁと思います。金八先生を始めとする学園もののドラマでは、ホームルームで生徒が活発に発言しますが、実際には日本の教室ではあんなことは少ないと思います。その辺はやっぱり国民性の違いだろうなと感じました。

大人になって聞いてみると生徒たちの言っていることのなんと生意気なこと!と思いますが、中学生なんて反抗期のまっただ中だし、大人は分かってくれないと思っていて、責任は取れないくせに自分はいっちょまえと思っている時期ですからあんなもんでしょうね。まぁ、人間あーいう時期もあっていいんだろうなと。ただ海外では日本と違って「退学処分」というのがあるので油断してはいられませんよね。フランスでは退学になっても他の学校に転校させるという処分みたいでしたが。そういうのは「退学」とははっきり言わないけど日本でもあるか。でも退学処分にするのに、教師と生徒と親代表が集まって裁判みたいなことをするというのに少し驚いた。

クラスがめっちゃ揉めてたかと思うと唐突に1年の最後になっていて、みんながこの1年で何を学んだかという話で終わるんだけど、最後に先生のところに来て「この1年で何も学んでいません」と言っていた女の子のことが気になった。彼女は反抗期ゆえの反抗心で言っているふうには見えなかった。学習上なにか困難を抱えているのか?その子に関しては何も分からないまま生徒と先生のチームが最後にサッカーをして1年が終わり、映画も終わってしまう。そこにちょっとしたもやもや感を感じながらのエンドクレジットだったのだけど、これこそがフランソワが感じた教師という仕事へのもやもや感なのか?というふうにも感じた。


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