シネマ日記

超映画オタクによるオタク的になり過ぎないシネマ日記。基本的にネタバレありですのでご注意ください。

プリティリーグ

2005-10-13 | シネマ は行
この作品のことを初めて知った時、これが実話の映画化だと聞いて、「ウソやろ?」と思いました。アメリカで女子の野球リーグがあったなんて…現代でさえ男女平等とか言われても実際そうではない社会なのに、第二次世界大戦時にそんなことが…???アメリカは自由の国などと言いますが、彼らもマッチョな男の世界~みたいのが好きですからね。女が野球みたいな風潮はありますもんねー。それでも、この女子リーグが結成されたのは、それだけアメリカ人が野球が好きだということでしょうね。「女のでもいいから野球が見たい」と思う人が多くいたからでしょう。

ロックフォードピーチズに集まった個性的なメンバーがとってもキュート。ドティジーナデイビスとキットロリーペティの実力派姉妹バッテリー。ダンサーあがりのメイマドンナ。メイの親友ロージーオドネル(はっきり言って)ブサイクな強打者マーラミーガンカバナー。子連れのエブリンビティスクラム。そして、監督はアル中のジミートゥーガントムハンクス

リーグの方針で選手たちは品行方正が求められ、淑女たるためのレッスンを受けさせられたりするのですが、それでも宿舎の教育係を騙して夜の街に繰り出したり…お笑いパートはもっぱら、マドンナとロージーオドネルが引き受けます。みんなで教会に行き、告解するシーンで神父を失神させるほどの告解をしたり、字が読めないチームメイトに字を教えるためと言ってHな小説を音読させたり、といたずらっ子的な存在でマドンナが活躍します。トムハンクスのおしっこの時間の長さを計ったり、エブリンが連れているニクったらしい子どもに本気でキレたりするシーンもあったなー。「エビータ」のところでマドンナの映画にいい作品はないと書きましたが、これはいい作品と言えるでしょう。ただ、これは“マドンナの映画”ではないので。

選手たちの中にも夫が戦争に行っている人が多く、戦死を知らせる電報にみんなが固唾を呑むところなど、シリアスなところもあります。主役のドティとキットの姉妹の確執もシリアスに描かれていますね。実話なだけに時間内に納めようとするとどうしても駆け足になってしまうくだりもありますが、それでも限られた中で丁寧に描かれていると思います。

チーム内に生まれる友情や、監督と選手としてのジミーとドティの信頼関係、投げやりだった監督が本気になっていくところなど絵に書いたようですが心温まる展開を見せてくれます。

ラストでは今現在の彼女たちが女子リーグが野球の殿堂入りした記念セレモニーで再会するのですが、その時の女優さんたちが驚きですとくにジーナデイビスが年を取った役をしている人。これは特殊メイク?っていうほどに似ています。特殊メイクじゃないよな?他の人もそれぞれにすごく特徴をつかんでいて、とても慎重にキャスティングされているところにペニーマーシャル監督のこの作品への愛情が感じられます。

そして、エンドロールでは本物の女子リーグの選手だった人たちが現在年を取ってから集まって野球をしている姿が映し出され、バックにマドンナの"This used to be my playground"が流れ、郷愁を誘い、野球が好きな人じゃなくてもなんだか分からないけど心があったかーくしてくれますよ。