突発SS アラサー螢子さん

何てことなの・・・
風呂上がり。
いつもの様に身体を拭いて体重を計ろうとして
洗面台の鏡を見た。

し、正面からなら問題がなかった体型が横から見ると
崩れてる！

慌てて同世代ー本当の同世代は一人だけだーの仲間に
一斉メール。
『身体の線崩れてきてない？』
五分後ショックで部屋着にも着替えずにいた螢子に
メールが届いた。
『崩れてんに決まってんでしょ』
ありがとう温子さん。15才以上年上だけど。
『胸の上のボリュームなくなって来てない？』
私まだそこまでじゃないわ、静流さん。
『目の下の隈とれないんだよ～(。>д<)』
わかるわ、ぼたんさん。
『最近和真さん夜元気がなくて。』
・・雪菜ちゃんそれ違う。

やっぱり、30も一つ二つすぎると油断出来ないのね
螢子はそう、悟った。
差し当たり毎週末のラーメンを止めるべきか。
幼馴染み兼元恋人のラーメン屋台は大層人気があって
店主の気紛れで２、３ヶ月休んでいても客足が絶えない。
要は安くて旨いのだ。
週末一週間の疲れを居酒屋で洗い流して〆のラーメン。
自分にとってのゴールデンタイム。
それあればこそ、めんどくさい雑事や速く結婚したらなどの
軽いセクハラ一回り下の新人との会話に耐えられるのだ。
あの、とろっとろのチャーシュー。
思い出すだけでお腹鳴りそう。


ピロン。
メールが一通届く。
『オレに言われても困ります』
あ。
そうよね。いくら美人でスタイル良くても男の人だものね。

ー本当に男なのか螢子は十五年以上疑っているが。
かしかしとメールを打つ。
『迷惑ついでに悪いのだけど蔵馬さんのアンチエイジング
方法ってなに？』
30秒後。
『何もやってません』
『うそ～本当に？』
『本当に』
冷蔵庫から缶ビールを出し飲む。
『じゃあなんでそんなつやっつやでぷるっぷるなの？』

一分後。
『適度な運動。』

運動ってあれか。
三年ほどご無沙汰なあれか。
いいわね。
旦那さまと子供がいる人は!!
バクン!と冷蔵庫を開ける。
夜十時すぎに食べるのは危険な唐揚げ。
明日の朝たべようと思っていたけど。
もう良い‼食べる！
ていうか、仲間内で旦那がいるのあの人だけだもの！
あたし、まだ大丈夫!!
夜中のビールと揚げ物のゴールデンコンビが
アラサーの身体にしっかりと身に付くと螢子が
知るのは四日後。



アラサー螢子さん１話(笑)