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「長野でのんびり翻訳生活」の野望

翻訳とか原書を読む会とか

倒置は嫌い

2010-01-13 16:26:25 | 翻訳のこと

アガサ・クリスティーを読んでいると、「ここ、どのように解釈すればいいのだろう?」とひっかかるところがいくつも出てくる。そういう個所は2冊の訳本で突き合わせしてみる。すると、たいてい訳文の解釈が異なっている。今回もそうだった。

ポイントはasの譲歩。「いかに~しても」、「~だけれども」。ジーニアスには、「Change you mind as you will, you will not be supported by many.(考えを変えても君は多くの人には支持されないだろう)」の例文が載っている。

辞書にあるくらいだから、それほど難しくないのだろうけれど、倒置になっていて、すっかりひっかかってしまった。お二人の先生方も多分、ひっかかっているのだと思う(断定できないのが悔しいけれど)。そういうときは、「ひひひ」と思いながら、翻訳の恐ろしさも思い知らされる。

【原文】

Did he know that we suspected him, I wondered. Surely he could not be unaware of the fact, conceal it as we would.P.92

【ハヤカワ文庫】

わたしたちから疑われているのを知っているのだろうか? 気づかないはずはないから、きっと私たちと同じように、そぶりを見せないだけだろう。

(P.106)

【ハヤカワ・ミステリ文庫】

彼は、私たちが彼を疑っていることを知っているのだろうかと私は考えた。たしかに彼にはその事実はわからなかったのだろう。(P.89

【試訳】

私たちから疑われているのを彼は知っているのだろうか、と私は思った。私たちは隠しているつもりでも、彼が気づかないはずはない。


スーザン・ボイル

2010-01-08 21:54:02 | 考えること

2-3日とクイック横浜してきた。すでに妹家族も遊びにきていたので、なるべく早い新幹線で行こうと、7時頃のあさまに乗り込む。10時過ぎには実家に到着。でも、お昼を食べてから頭痛が激しくなり、翌朝まで布団に入っていたので、母と話す時間はほんの少ししかなかった。

その貴重な、ほんの少しの時間で彼女はこんなことを言ってくれた。

「あなた、ほら、あの声のきれいな人によく似てるわねぇ」

へっ? 誰だ、それ。

「名前はわからないけど、どこかの国のきれいな声の人。年も同じくらいじゃない? 紅白では、お歌が上手だったわよねぇ」

……それはひょっとして、スコットランドからきた、あの人のことでしょうか。

「アゴのあたりが特にソックリよ」

……頭痛がひどくなった。


とらのバター

2010-01-01 11:28:31 | 翻訳のこと

クルクル回っているうちにバターになっちゃう虎さんたちの年になった。

年女のあたくし(自称24歳)を今年もよろしくお願いいたします。

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2009年は自分を知る年だった。こんなこともできないのか、あんなこともできないのか、そんなはずじゃなかった……「自分を知る」ではなく、「自分の無力を思い知らされる」か。幸せなことに、こんなこともあんなこともサラっとやってのける人たちが身近にいるので、2010年は(も)刺激をもらいながら前進あるのみ。

暮れには、末席でお手伝いしたこの本が手元に届いた。今月下旬には翻訳本もでる。ありがたいことに復習材料は山ほどだ。その一つひとつを無駄にしないようにしなければ。とかなんとかいいながら、すでに目の前の原文でアップアップしているのはなぜ?

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それほど仕事量があるわけではないのに、なぜ忙しいのだろうと不思議だったが、ようやくわかった。歩いているからだ。その分、細切れに存在していた時間が消滅してしまったらしい。これからはゴーシュ専用ショーファーとしてますます出番が増える予定なので、何とか時間を捻出しないと。どれだけ集中できるかがポイントか。

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2009年最後に読んだ本は『静かなアリス』だった。

若年性アルツハイマーを扱った本書は、ノンフィクションではないかと思うほどリアルだ。著者のリサ・ジェノヴァはハーバードで神経科学の博士号を取得。鬱やパーキンソン病、薬物中毒、脳卒中後の記憶喪失の分子病理学に関して研究してきた。荻原浩の『明日の記憶』とはまた違った印象だが、それは著者が持っている専門知識の差や国・職業の違いだけでなく、主人公の性の違いも大いに関係しているように思う(実際は女性の方が発症しやすいらしい)。

実は、この本(『Still Alice』)の企画を書こうとしていた。是非、訳してみたいと思った。つらい本だが、訳してみたいと思った。でも、わたしがそう思った頃には、すでに古屋さんが訳了されていた。訳本を読んで思った――この本の翻訳はタフでなければできない。

たまたまメルマガで古屋さんのインタビューを読み、あぁ、実際タフな人なんだと知る。胃薬バンバン飲みながらも、心は折れない人なんだ、きっと。

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2009年、忘れられない1冊は小川洋子の『猫を抱いて象と泳ぐ』。体が大きくなることに対する恐怖心と閉じ込められた空間、そして、チェスの美しい棋譜。棋譜の美しさはわからないけれど、小説はとにかく美しかった。そして、装丁も。

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