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「長野でのんびり翻訳生活」の野望

翻訳とか原書を読む会とか

下訳者の憂い

2006-11-29 15:46:03 | 翻訳のこと

青山通いの終盤、「進捗状況」でカウントダウン(?!)をしながら悪戦苦闘していたL6Pが本になった。早っ!2年以上かかってようやく形になるものもあれば、3カ月で形になるものもある。出版界、恐るべし。

分担の下訳だったのだが、訳者あとがきにも名前が載っていないので、ここで書籍のタイトルを公表していいのかどうかわからない。素直にエージェントに聞けばいいのだろうが、「おやおや、いい年してそんなルールも知らないんですか」とか思われると癪だし。って、こんなことをグダグダ書いていること自体、恥なのかも……。う~む、12月中旬にこっそり先生に聞いてみよう(あっ、先生って、ホラッ、横浜の……)。

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まだまだ翻訳修行中の身なので、下訳を次々とこなして実力をつけていきたい。「下訳ならぁ、上訳者にぃ、最終的な責任をぉ、とってもらえばいいしぃ」などと甘ったれたことは露とも考えていない。単に、実力不足ゆえ、上訳よりも下訳の仕事の方がゲットするチャンスが多いという理由だけだ。けれど、この下訳、実は相当な曲者。他のケースはよくわかないが、エージェント通しの場合、下訳も、額は少ないとはいえ報酬が発生するりっぱな仕事形態の一つなのだが、その仕事が「なかったもの」になることがあるらしい。

実は、先日、翻訳家(者)を目指す人たちを対象とした講演会で、講演者の翻訳家が出版社の用意した下訳を「全く使い物にならない」と酷評しているのを聞いた。偶然にもその案件は自分もトライアルを受けたものだったので、ある意味興味深い話だったが、同時に複雑な気持ちにもなった。

なんでも、翻訳に際して、出版社が頼んでもいない下訳を好意で用意したのだが、その下訳が全く使い物にならなかったらしい。講演では、「お金を払って読者に本を読んでもらうためには、英文和訳では不十分」を説明するための事例としてその下訳が紹介された。指摘された内容は、実にそのとおりで、作品になった翻訳と下訳者の訳文とには雲泥の差がある。前者では、物語がまるで生きているよう。違いがあまりにも決定的で、バックミュージック付きで黄門さまの印籠を見せつけられた気分になった。

しかし、全く使い物にならないと判決を下された下訳を何カ月かかけて一所懸命訳し続けた下訳者のことを思うと、無性に悲しくなった。それに、自分はそのオーディションに落ちているのだから、その下訳よりも下の下なわけで、空しさ倍増。ちなみに、該当の書籍に書かれた訳者の言葉には、下訳者に対する感謝の言葉がしっかり掲載されていた。

さてさて感傷に浸っているわけにはいかない。今目の前にある、わたしが部分的に下訳をした黄色い表紙の本は、一体どうなっているのだろう? わたしの原稿も即ゴミ箱行きだったりして。なんせ、感謝の言葉もかけてもらえないくらいだから、その可能性だってある。

……う~ん、どうやら、即ゴミ箱というわけではないらしい。ちょっとホッとした。ザックザック削除されているのは、訳者の言葉にあるように、「***博士の了承を得て、エッセンス部分を中心に編集してい」るからだろう。

下訳を続けている限り、こういう思いをするのは仕方がないのかもしれない。それが嫌なら、さっさと実力をつけて上訳者になればいい。


「マッチポイント」

2006-11-28 08:17:16 | 映画のこと

実際は大して働いていないけれども、気分だけは十二分に働いた後は、映画ウィーク。

久しぶりのウディ・アレン、さらにニューヨークではなくロンドンが舞台となれば見逃すわけにはいかない。そんなわけで「マッチポイントを観た。一度は行ってみたいSaatchi & SaatchiThe Saatchi Galleryも紹介されていて、満足度はかなり高い。

テニスに乗馬、狩猟、マナーハウス、オペラハウスのボックス席、ジャガー、長期休暇、英語のしゃべり方にアクセント……これでもか、これでもかと、ほんの一握りの人たちしか経験していないであろう、現代の英国上流社会の生活が繰り広げられる。別世界。ジョナサン・リース・メイヤーズが演じる主人公のクリスが、多くの観客の感じ方を代弁しているのかもしれない。

ストーリーは大どんでん返し。ラブロマンス的な映画なのかと思っていたら、とんでもない。さすがウディ・アレン。サイトにあるゴールドリングの「真」の意味が最後になってようやくわかる。

陰のあるメイヤーズの壊れ具合は絶妙で印象深いが、スカーレット・ヨハンソンにはさらにハッとした。彼女を初めて知ったのは、「ロスト・イン・トランスレーション」。魅惑の唇に目が奪われたものの、それほど気になる存在ではなかった(映画界では非常に評価の高い女優さんで、いろいろな賞にノミネートされているらしい。映画通でないことがバレバレ)。が、この「マッチポイント」ではド迫力だった。自分の中では赤丸急上昇である。

それにしても……。映画冒頭のナレーション、もう一度聞きたい。実は字幕と音とを両方追おうとして、結局両方ともつかめず、大失敗。後(うしろ)から訳していたのか、それとも、単にリスニング能力が低いからなのか……。不完全燃焼だ。それから、もう一つ不完全燃焼なのがアイリッシュ英語。あきらかに上流階級の英語とは違うことはわかるが、メイヤーズの話す英語がアイリッシュ英語だとはわからなかった。う~ん、どんな英語を話すのかは、その人の受けた教育や生き方そのものを反映しているから、その違いがわからないと物語の楽しみも半減してしまうかも。かなり悔しい。ウディ・アレンの作品なので、言葉がうまく拾えないと余計に悔しい。

あとは……味のある刑事が2人登場。彼らの会話を字幕で追ったのだが、なぜだか途中で話が見えなくなった。う~ん、日本語の読解力まで下がったか。それとも……。

そんなわけで、もう一度観に行く理由は山ほど揃った。上映は今週金曜日までなんだけど……。


お年玉?

2006-11-27 09:51:00 | 翻訳のこと

なんと2年以上前の下訳が形になった。ひょっとしたら企画自体が流れたのかも……とかなり不安だったが、本になればこっちのもの。めでたし、めでたし。しかし、下訳だったうえ、分担訳、さらに上下巻で合計1000ページにわたる大物で、下巻はまだ発行されていないらしいので、油断は禁物。原稿料をもらえる日はまだ遠い。

それにしても、2年以上も前に訳したものとなると……う~ん、複雑な心境。赤ペン用意、だ。一刻も早く、どの作品も悔いなく仕上げられるようになりたい。でも、「悔いなく」なんて可能なんだろうか?夢のまた夢?『翻訳という仕事』で小鷹信光氏が書かれているように、「訳者が原作をどこまで正しく、深く読み込んでいるかをあからさまにする、逃げ隠れのできない証拠物件」(P.79)が訳書なのだから、生き恥をさらすことだけは避けたい、のだが……。


11月7日のChristie

2006-11-27 09:25:10 | Murder on the Orient Express

P.113 Part2 The Evidence, Chapter2 The Evidence of the Secretaryの冒頭からP.119 Chapter2 結び'I comprehend. Thank, M. MacQueen.'まで。

P.113

'I think ~ that it would be well to have a further word with M. MacQueen, in view of what we now know.'

こういう表現が自然に出るようになるといいな、と常々感じているのが、仮定法を使った丁寧な言い回し。it would be well なんて、何も考えずに口から出てくるようになってみたい。/in view of=~を考えると

'Ratchett, as you suspected, was merely an alias.'

alias=偽名。アクセントは最初の「a(エイ)」。

the man who ran the celebrated kidnapping stunts

celebrated=良いニュアンスだけなのかと思いきや、単にfamousというときにも使われる。/stunt=人目を引く行為

'The damned skunk!'

skunk=下劣なヤツ

P.114

'If I had I'd have cut off my right hand before it had a chance to do secretarial work for him!'

if I hadif I had known that Ratchett was Cassetticut off=切り落とす。つまり、仕事ができないようにする

'You feel strongly about the matter, M. MacQueen?'

feel stronglytake it seriously

My father was the district attorney

a district attorney=地方検事

I'm rejoiced at his end.

end=最期。彼が死んでうれしい。

'I don't think I could do that even to save myself from the chair,' said MacQueen grimly.

do thatdisplay an inordinate sorrow at his employer's decease  inordinate=過度な/decease=死

'But surely --- I mean ---that was rather careless of the old man

thata fragment of a letter があったという事実。この「but surely」がキーワード。

P.115

The young man seemed to find this remark rather baffling.

bafflingconfusing

He stared at Poirot as though trying to make him out.

make him outunderstand Poirot

Get right on with it

=すぐに取り掛かってください

P.116

I don't as a rule cotton to Britishers --- they're a stiff-necked lot --- but I liked this one.'

as a rule=いつもは/cotton to=~が好きになる、~と仲良くなる/stiff-necked=頑固/this oneArbuthnot

Getting on for two o'clock,

get on for=~に近づく

P.117

until the time you parted company for the night.

part company=分かれる/for the night=寝にいく

MacQueen drew his brows together.

draw his brows togetherfrown

P.118

And a woman passed the other way, going toward it.

the other way=前述のthe conductorとは逆の方向。つまりfrom the direction of the dining-car ではなくて、toward the dining-car

I just seem to remember a glimpse of some scarlet silk affair passing the door.

affair=もの

I didn't look, and anyway I wouldn't have seen the person's face.

lookseeの違い。I wouldn't have seen the person's faceeven if I had looked the person, I wouldn't have seen his or her face.

my carriage faces the dining-car end of the train

列車の見取り図からも、MacQueenの客室のドアは食堂車の方に開くことが確認できる。よって、食堂車方向に歩く人の顔は確認できない。

in the adjoining compartment to Mr Ratchett.

an adjoining compartmenta connecting room

P.119

and yet (Mr Ratchett) could get at both it and me easily whenever he chose.

and yet=なおかつ/get at=手に入れる/ithis baggage


11月7日のMary Poppins

2006-11-27 06:47:31 | Mary Poppins Comes Back

遅くなりましたが、前回の復習です。P.277P.282 下から2行目、Then Mary Poppins lifted the Twins from the perambulator and put Barbara in front of Michael and John behind Jane. まで。

P.277

"It's Mrs. Turvy."

自分のこと。もうMiss Tartletではなく、Mrs. Turvyなのよ、と言っています。

She turned, blushing to Mr. Turvy.

blushbecome red in the face  ここは「turned, blushing, to Mr. Turvy」か?

He stood beside her smiling a little sheepishly.

sheepishlooking embarrassed

P.278

---they're getting off?

theykidsgetting off from the ride

looking over his shoulder at their retreating figures

theirMr. & Mrs. Turveyretreatmove away

Mrs. Turvy very fat and curly, Mr. Turvy very straight and thin.

curlycurved shape とても対照的な2人。

and she pulled up suddenly.

pull upstop

P.279

"Ahem!" said Mary Poppins, with a lady-like cough.

ahem=のどを鳴らす音。「e」にアクセント。

They going with you?" he added, jerking his thumb at the children.

jerkmove quickly 親指をグイッと動かして子供たちの方を指した状態。

He pursed up his mouth.

purse up his mouthform his lips into a small tight round shape

P.280

Then he bent down and picked the pear clean out of the pavement

cleancompletely 副詞としても使われるので要注意!

"But what about you?" said Michael, for though he wanted the Pear, he also wanted to be polite.

このあたりがBanks家の子どもたちのかわいいところ。彼の国の人たちはこうしてそのクラスに相応しい心の在り方を学んでいくのでしょう。

And with that he plucked the Banana,

that"That's all right, I can always paint more!"pluckremove, pull out

A clear sweet strain of music came floating urgently to their ears.

urgentlyrepeatedly

P.281

as she neatly hid her Plum-stone between two Park railings.

stone=種。桃などの大きな種のこと/neatlytidily

"What's wrong with it, pray?"

pray=どうぞ、願わくは。I prayの略。「Pray calm yourself. どうぞ落ち着いてください/Pray give my regards to Mr.Smith. スミスさんによろしく/Let me be alone,pray. ねえ,1人にさせておくれ.」(『ランダムハウス』より)

"Speech costs nothing!"

Speech does not have value. Speech means nothing. 無駄口たたくな。次の"And a Cat can look at a King, I suppose?"は意味のないこと。

streaking past Michael and Mary Poppins and the perambulator towards the thundering music.

streakmove very fast in a particular direction、次に出てくるdashと同類/thunderingroaring

and it was gorgeously decorated with golden scrolls and

scroll=渦巻き模様

The Merry-go-round slowed up and drew to a standstill as they arrived.

draw to a standstillstop

The Park Keeper ran up officiously and held on to one of the brass poles.

officiouslyimportantlyhold on tograb

He clambered on to its back and seized the pole.

clamberclimb with a lot of effortseizegrab

called the Keeper fussily as Jane sped past him.

fussilytoo concerned about details