著:ダニエル・クーン 監訳:三宅貴夫 訳:保科京子 出版社:クリエイツかもがわ
荻原浩の『明日の記憶』を読み、若年性アルツハイマー病と生きるということがどういうことなのかを垣間見てからというもの、認知症に対する関心が急激に高まっていた。そんなときに『Alzheimer's Early Stages』の翻訳を任せてもらったのは、きっと単なる偶然ではないだろう。
無知のもたらす恐怖心は計り知れない。「そんなこと知らなければ、今までどおりのん気に暮らせたのに……」――そんなことがあるのも事実。しかし、知らないまま恐怖を抱え続けるのはつらすぎる。「知る」ということだけで恐怖が薄らぐのなら、希望が持てるのなら、それはどんなにすばらしいことだろうか。この本は、専門的な見地から、介護をする周囲の人が感じたことから、そして、病を患っている当人の目から、多くの情報を読者に提供してくれる。
忘れてしまう、記憶を留められない、それがアルツハイマー病。しかし、皮肉なことに、忘れてしまう、記憶をとどめられない、だからこそ生きていける――それもこの病気の特徴なのだ。
是非一度この本を手にとって読んで欲しい。この病気との新しい付き合い方が見えてくるはずだ。
出版社クリエイツかもがわのウェブサイトには、クーン氏が日本の読者向けに宛てた挨拶が掲載されている。そちらもどうぞ。監修された「社団法人呆け老人をかかえる家族の会」の三宅先生のコメントはこちら。

