最後のtoがそもそもの発端だった「You'd be so nice to come home to」話。思いのほか盛り上がった。
わたしたち(「たち」にしてしまい失礼、「Angela's Ashes」チームの皆さん)が目指したのは、come homeするのは誰で、誰のところにcome homeするのかを文法的に理解すること。『帰ってくれたら嬉しいわ』が誤訳タイトルであることは、よくわかった。「come home するのはボクで、家で待っているのは君」、君の味噌汁を飲みたいなぁ、という甘いささやきだというのは周知の事実だとしても、toの後にくるべき目的語がなぜ主語の位置にあるのか。そんなのありえな~い、なぜこうなるのか、誰かきちんと説明して~、と叫びたい。
ネイティブに聞けば、「come home toでないとおかしい。土台、この場合、to come homeはありえないし。それにねぇ、君が何をそんなにわからないのかがよくわかんないよ」とバッサリ切って捨てられる。確かにこういう文章はよくある。不思議なもので、文法的な裏付けがなくても、前後の文脈からどういうことを言わんとしているのか想像できる場合が多い。試験問題のように単文だけだされると、きっと混乱するに違いあるまい。
Oxfordの文法書の不定詞の項目に的確な説明があることをオザワさんが見つけてくれた。実にありがたい。形容詞には、不定詞を伴った文章の場合、節の主語が不定詞の目的語になる構文となるものがあるという。easy、difficult、impossible、good、readyがその例で、enoughやtooのあとにくる形容詞も含まれるらしい。タイトルからしてすごい。「subject of clause = object of infinitive」。なるほど、節の主語は不定詞の目的語と同じ。しかも、解説には、前置詞が文の最後にくる場合もあるとわざわざ書かれている。例文は「She's nice to talk to. He's very easy to get on with. It's not a bad place to live in.」。そうそう、それそれ。そのルールこそ、黄門様の印籠。ははぁ~、そうでありましたかぁ~、とひれ伏そう。
ちなみに、『英文法解説』には形容詞の項目に説明あった。S+be+形容詞+to ~の第4型。P.100~101にかけてじっくり解説されている。例文は、She is really pleasant to talk to.(彼女は話相手にすると実に楽しい)(=It is really pleasant to talk to her.)など。文の主語は人間でも物でもよいとし、形容詞にはcomfortable, convenient, dangerous, difficult, easy, exciting, hard, impossible, interesting, nice, pleasant safeと難易や快不快を表す言葉が並ぶ。以下、P.101【解説】から引用。
この構文の特色はThis car is easy to drive.で代表されるように、文頭の主語(This car)が意味上は不定詞(to drive)の目的語になる点にある。したがって、Your question is impossible to answer.とは言えるが、Your team is impossible to win.<誤>はwinを「勝ち取る」という他動詞に解さない限り、文として成立しない。これに対して、次の文はdefeatが他動詞だから正しい文である。Your team is impossible to defeat.(君のチームは負かしようがない)次の文も「話し始めたら止まらない」ではなく、「止められない」である。If he starts talking, he's hard to stop.
これで、You'd be so nice to come home to.の意味もすっきり明快だ。
ちなみに、高校生に「君たちはこの川で泳ぐのは危険です」を英訳させると、何人かは「You are dangerous to swim in this river.」と間違えるそうな。え~っと、これは明らかにひっかけ問題ですよねぇ。少なくとも、「君たちがこの川で泳ぐのは危険です」にしてあげないと……。