歩いていたら、どこからかあの薫がしてきた。もうそろそろ誕生日がくる。
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忙しくなると片付けをしたくなるのと似ているかもしれない、無性に歩きたくなって、往生地の自宅からアクソンさん目指して西和田(東長野郵便局付近)まで歩いてみた。いつかは歩いてみようと思っていたのだが、ようやく実現できた。1時間半も歩けばたどり着くだろう程度しか考えていなかったが、1時間ちょっとで着いた。なかなかじゃん。距離にして、片道7~8キロらしい。
アクソンさんで少しだけ事務仕事をして、また家に戻る。歩いてきたら、歩いて帰らなければならない。しかも行きは下り坂、帰りは思いっきり上り坂。それでも、歩いて帰らなければならない。ちょっとつらい。
秋の陽射しを浴びて、腕(とノーメイクの顔)がコゲコゲになった。おいしそうだ。
昨日は中学が公開うんだらかんだら授業だった。先生たちの研究発表会だ。母たちがペンキ塗りしたのも、このためだ。文部科学省からもお役人さんが見に来るわけだから、これが終わるまでは先生たちがピリピリしているというのもわかるような気がする。
そういえば……某高校で外部講師をしていたときに、公開授業日にぶちあたり、プロ達から私の授業を観察されたことがある。あのとき私が教壇に立っていたのは、税金を投入した特別プログラムの一環だったのだからであり、お役人さんのチェックが入っても当然と言えば当然だ。下手な英語を駆使しているのを見られるのは恥ずかしかったが、ちっとも緊張しなかったのは、自分が「教師」ではななく「講師」だったからだと思う。
昨日見た1年の英語の先生は、間違いなく、緊張されていたはず。なんせギャラリーは60人以上。生徒の数より多い。でも、生徒の心をグッとつかんだ元気いっぱいの授業で、発展性ある学びのひとときだった。これが中学の英語の授業のスタンダードなら、ちょっと希望が持てる。
何せ、前回の授業参観で見た授業がすごかったから。あのときの、
先生:Let’s ~!
生徒たち(一斉に):Yes! Let’s!
のシュプレヒコール的衝撃から、私はなかなか立ち直ることができない。「辞書にはそう書いてある」と言われれば返す言葉がないけれど。
昨日は、発表会が終わって最初のチェロのレッスン。
発表会の前日までダメダメだったにもかかわらず、最後の直線の走りは母親譲りとでもいうのでありましょうか、発表2時間前の先生との最後の合わせで、ゴーシュは突然いい音を出せるようになった。本番でも(ちょっと間違えたけれど)気持ちよくひけて、お世辞であれ先生からお褒めの言葉ももらえたのに、それ以来2週間、チェロのケースは開かれることなく……。
レッスン日の前日、久しぶりにひいた音階では、音がずれていることに気付かないほどで、またゼロからのスタートか、と母は頭を抱えた。とにかく、次の曲のサワリだけでも予習しておかないとマズいでしょう、ということで、最初のフレーズだけ音を確認した。ありがたいことに、その最初のフレーズに、この曲で学ばなければならない(と勝手に母が解釈した)重要な音が出てきた。短い練習曲なのだから、「この音をひけるようになりましょう」という肝の音があるはずでしょう? 試験前夜モードに突入した母は、「とにかくこの音だけは出せるようになりなさいっ!!!」とビシバシ鞭を入れる。
かくして、ちっともいい音はでないけれど、問題の音がどういう音なのかは理解できている状態でレッスンにのぞみ、先生に「予習までしてきて、エライですねぇ」と言わせた。あぁぁ~、いいんだろうか、これで……。
いやいや、あのチェロがわたしのものとなる日が近いということかも。ふふふ。
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チェロの発表会のあと、先生を囲んだお食事会が開かれた。何でも年に1度の集まりだそうだ。せっかくなので、親子で参加した。先生のお弟子さんは、皆、成人で(しかも、人生経験が極めて豊富そう)、ゴーシュは超若手ホープ、ひとりだけ浮いているのだ。
宴が始まり、皆さんの話をうかがっていると、あさま組の「父」の顔がチラチラし始めた。とにかくですね、作曲家の名前、演奏家の名前のオンパレード、いつのあのコンサートホールで行われたあの演奏がどうの、と超マニアックな話ばかりで、すっごい世界に来ちゃったなぁと唖然である。でも、そのおかげでフォイアマンの名前を知ることができた。ゴーシュの母でよかった。
それから……わたしの隣の方がなんと同業者だった。ネットが自由に使えるようになった頃、地方でも翻訳を続けられると見込んで、都会から信州の山奥に引っ越してきたとおっしゃっていたので、(年齢は同じくらいだと思うけれど)キャリアはかなり大先輩である。ひぇぇぇぇぇ~。なんだかすごい企画をお持ちのようで、出版が決まればファン垂涎の……になるらしい。
ひょっとして、石を投げれば企画を抱えた翻訳家にあたる世の中になってきたのか?!?!
今年も、ゆく年くる年の時間になりました。
ご~んという鐘の音を聞くと、あぁ、今年も終わりなのだなぁ、日本人だなぁと感じます。
今年もお世話になりました。くる年が幸多き年でありますように。


