南極観測船であり、自衛隊唯一の砕氷艦である「しらせ」(1万2650トン)は11月16日に神奈川県横須賀市の海上自衛隊横須賀基地を出港し、南極・昭和基地に向かって航海中だ。今回は第57次南極観測隊を支援する。到着は、来年1月上旬までの予定。赤道を越え、氷海の氷を砕きながらはるばる南極を目指す約3カ月の航海には、途中どんな光景が広がっているのか。海自には、昨年同時期の航海の様子をおさめた関係者向け画像集「第56次南極観測協力行動 しらせ氷海を行く」(海上自衛隊提供)がある。氷に覆われた海、氷上を歩くペンギン、輝くオーロラ、そして乗員らの艦上での生活…。今回海自の協力を受け、それら数々のシーンを紹介する。(高原大観)

 今回のしらせの航海は、12月2日にオーストラリア・フリーマントルに入港の予定。その後は、約2カ月かけて南極の昭和基地を目指す。しらせの乗員は約180人。フリーマントルで観測隊の隊員約60人が乗り込む。艦長の大鋸寿宣(おおが・ひさのぶ)1等海佐(49)は「遠い日本からの応援を胸に南極での活動を全うし、期待に応えたい」と意気込む。

 今回紹介する画像の数々は、昨年の航海の模様。今回も往路は同じルートをたどる。

 出港から数日後には、フィリピン近海に到達。ここでは、先の大戦の英霊を慰めるための洋上慰霊祭が催される。乗員らが黙とうし、花や御神酒などの供物を海に捧げ、弔銃の発射が行われる。

 その後、赤道を越える日には「赤道祭」が開催される。乗員は仮装などをして南半球に入ったことを祝い、お祭り騒ぎを楽しむ。 フリーマントルでは、文部科学省などから派遣される観測隊の隊員が乗船。南極までの最後の補給を終える。昨年はフリーマントルを出た後、約2週間で氷海に入ったという。

 南緯40度からは暴風圏に入り、海が荒れることがある。南極へ向かう船旅の厳しさを表わす言葉に、「吠える40度、狂う50度、叫ぶ60度」があるという。南極に近づくにつれ、海はどんどん荒く、凶暴になっていくという意味だ。船酔いをする者が続出するという。

 氷海に入ると、分厚い氷の塊を砕きながら前進する。厚さ約1・5メートルまでの氷は砕きながら前進できるが、それ以上の厚さの場合は一度艦を2〜300メートル後退させてから最大馬力で前進。氷に乗り上げることで氷を砕いて進む。この動きを「ラミング」というが、この際に後退しやすいよう氷上をなめらかにするために、艦前方の穴から水を噴射しながら進む。

 艦内では、郵便局や理髪店もあり、居住性は快適だ。年の瀬になると、餅つきもあり、正月には、おせち料理も出る。正月を迎えたら、南極到着までもうわずかだ。

 昨年は、昭和基地の沖合約500メートルに到着した。基地に桟橋はないため沖合の大きな氷塊に接岸するのだという。昭和基地のある南極のリュツォ・ホルム湾は、厚さ約6メートルの海氷と約2メートルの積雪に覆われている。一面が白銀の世界。そして、そこでは、愛らしいペンギンたちが出迎えてくれる。


南極とか北極とか、行ってみたいなぁ。

でも船に弱いからなぁ。