民進党は万年野党を目指すつもりなのだろうか。

 同党の岡田克也代表は3日放送されたNHKの憲法記念日特集番組で、安倍晋三政権のもとでの憲法改正に応じない理由について「首相は集団的自衛権行使を際限なく可能にするに違いない」「安倍首相の態度が問題だ」などと首相へのレッテル貼りを繰り返し、現行憲法の問題点など本質的な議論を避けた。

 憲法制定から69年目を迎え、自衛隊の位置づけや災害時の緊急事態条項など、喫緊に協議すべき課題は山積している。首相に責任転嫁して憲法議論を拒む岡田氏の態度は、「政権交代可能な二大政党制」の一翼を担おうとする政党のトップとして、ふさわしいものなのか。

 岡田氏は番組で「首相が憲法改正で一番やりたいことは、集団的自衛権を際限なく可能にすることだ」と指摘。自民党が野党時代にまとめた憲法改正草案も「一番の眼目は集団的自衛権の行使を限定なく認めることだ」と言及し「憲法の平和主義に明らかに反し、反対だ」と批判した。

 同席した自民党の高村正彦副総裁は「(限定のないない集団的自衛権行使容認を)喫緊の課題として、当面の政治課題として莫大なエネルギーを払ってまで今やることではない」と否定。しかし岡田氏は「首相は次の参院選で声高に言わなくとも、(改憲発議に必要な)3分の2を取れば必ずやってくる。絶対阻止しなければならない」とボルテージを上げた。

 さらに岡田氏は番組で、民進党が安倍政権下での憲法論に慎重な理由として、首相自身の言動に責任があると論を進めた。

 岡田氏は、首相が「現行憲法は連合国軍総司令部(GHQ)の素人がたった8日間で作り上げた代物」と述べたと指摘。「首相は今の日本国憲法が、成り立ちも含め嫌なのだ。イデオロギーだと思うが、全面的に取っ替えたいという思いが強すぎて、(改憲)議論が逆に停滞している」と皮肉った。

 加えて「与野党で合意形成を目指す流れが変わった最大の理由は安倍首相の態度だ」とも強調。「憲法改正に慎重な人たちを無責任だと公言したり、(選挙で改憲発議に必要な)『3分の2を取る』といわれる。これでは腰を据えて議論ができない」と切り捨てた。

 集団的自衛権をどこまで認めるかは、昨年成立した安全保障関連法の国会審議でも激論が交わされた。

 野党側は「首相は米国と一緒に、地球の裏側まで戦争に行きたいのだ」と盛んにレッテルを貼ったが、首相は「日本を守る米艦防護など、自衛のため必要最小限の範囲しか認めない」と繰り返し答弁している。

 岡田氏の主張がすべて正しいとは到底思えないが、仮にそうだとしても、それが憲法論を封印する理由になるだろうか。

 そもそも憲法改正を発議するのは、首相ではなく国会だ。それには、衆参両院で3分の2以上の賛成が必要となる。さらにいえば、発議しても国民投票で過半数の賛成がなければ改正できない。

 民進党が集団的自衛権を際限なく認めたくないと考えるなら、憲法改正をめぐる与野党協議で堂々と主張すべきだ。喫緊の懸案と切り分け、集団的自衛権をめぐるこの一点で議論すべきだ。

 仮に集団的自衛権を際限なく認める内容で改憲発議がなされたとしても、野党第一党が反対している現状で、国民の過半数の賛成を得るのは相当高いハードルになる。

 民進党は現行憲法について、共産党のように「不変」と位置づけるのか、改正すべき点はないのか。首相の邪推や揚げ足取りばかりするのでなく、ここを選挙前にはっきり示さないことこそ、国民への背信行為になるのではないか。

 岡田氏は、安倍首相の「タカ派」的な印象を盛んにあおり立て、国民にぼやっとした危険なイメージを植え付けたいのだろう。夏の参院選で共産党との候補一本化を進めることを念頭に、首相に責任をなすりつけ、具体的な改憲論が深まることを避けた面もあるとみられる。現に岡田氏は番組で「自衛隊は憲法違反」などと断じた共産党の志位和夫委員長への批判は口にしなかった。

 岡田氏は、安保関連法などの動きが他国を刺激し、日本を危険にさらすと言いたいのだろうが、北朝鮮の核・ミサイル開発や、東・南シナ海での中国の覇権的な海洋進出の動きをみれば、日本を守るための一定の抑止力整備が急務なのは明らかだ。

 今は「日本国民は(中略)平和を愛する諸国民の公正と信義に信頼して、われらの安全と生存を保持しようと決意した」と記した日本国憲法の前文が想定するような国際情勢にないことは明らかだ。

 首相が改憲イデオロギーに染まり、米国と一緒に地球の果てまで戦争に行こうとしているから、改憲論議そのものを封印せざるを得ない−。本当にこうした考えが民進党内の総意なのかも聞いてみたくなる。

 自民党内でリベラル派と目される岸田派幹部は、3日の番組を見た後、がっかりした様子でこう語った。

 「岡田民進党が急速に『共産化』している。本音ではわかり合える部分もあると思っていたのに、選挙の実利ばかりで短絡的だ」

 (政治部 水内茂幸)


なぜ『憲法改正=改悪』だと決めつけるのか分からないなぁ。

70年近くを経て、現実に即していない部分は改正すべきだと思うんだけどなぁ。

憲法改正に反対する人々は、どういった点で反対しているんだろう。

某政党が『戦争法』などとレッテルを貼っているけど、本当に戦争法案だと思っているんだろうか。

安保法が議論されていた国会周辺でデモを行っていた人たちは、マスコミなどの情報だけでなく、本当に自分で考えて行動したんだろうか。

分からないことだらけだよ。

それにしても、それ以前に、野党第一党の民進党は、そこまで他人を貶めてでも政権を獲りたいんだろうか。