大阪と札幌を結んでいた寝台特急「トワイライトエクスプレス」は今年3月で運行を終了しましたが、5月16日から“特別なトワイライトエクスプレス”として再び活躍を始めます。はたしてどんなところが“特別”なのでしょうか。その車両、料理が公開されました。

客室全てが「SA」、定員わずか40人

 2015年5月13日(水)、JR西日本は“特別なトワイライトエクスプレス”を網干総合車両所宮原支所(大阪市淀川区)で報道陣に公開しました。大阪〜札幌間を結んでいた寝台特急「トワイライトエクスプレス」は、今年3月12日発車分で運行を終了しましたが、その車両は5月16日(土)から引き続き、旅行会社専用の団体臨時列車として走ります。それが“特別なトワイライト”です。

 それが“特別”である理由に、まず「全客室が『SA』」なことが挙げられます。寝台車には、座席車では普通車に相当するB寝台と、グリーン車に相当するA寝台があります。またA寝台のうち、特にグレードの高いものを「SA」と表します。

 従来の「トワイライト」はA寝台のほかB寝台も連結していましたが、今回登場した“特別なトワイライト”は全客室が「SA」、つまりA寝台でもグレードの高いものだけで編成されているのです。

 用意されるのは「スイート」と「ロイヤル」という2種類の「SA」で、客室を備えた車両は4両連結されますが、定員わずか40人。もちろん各部屋にシャワーと洗面台、トイレがあります。従来の「トワイライト」も“豪華列車”として知られていましたが、それが“超豪華列車”にグレードアップした形です。また食堂車やサロンカーなども連結され、全体では8両編成になります(けん引する機関車を除く)。

2回楽しめるブイヤベースなど食事も“特別”に

 車内で提供される食事も“特別”な理由のひとつです。以前の「トワイライト」でも食堂車でフランス料理を楽しむことができましたが、“特別なトワイライト”はこの点でもグレードアップしています。

 フランス料理のディナーは食事時間がより多く確保され、品数が増えました。内容もさらに凝ったものになり、たとえば瀬戸内をイメージしたブイヤベースについて、まず最初はあっさりしたスープで賞味。続いて伊勢エビと、エビの殻からとられた濃厚なスープを加えることで、味の変化を楽しめるようにされています。ジェイアール西日本フードサービスネットの伊福部さんによると「ふたつの味を楽しめる」そうです。

“特別なトワイライト”は1泊2日のコースで運行され、そのあいだ朝食が1回、昼食が2回、夕食が1回提供されます。このうち1日目の昼食ではお豆腐がメニューにありますが、そのお豆腐はなんと料理長が列車内で作り、出来たての温かいものを提供するそうです。

 また、ディナーや朝食のパンは神戸三宮「サ マージュ」、大阪上本町「パリゴ」、デザートは「エス コヤマ」「京都北山マールブランシュ」と、人気ブーランジェ、パティシエが協力してプロデュースしているのもポイント。「トワイライト」オリジナルのパンやデザートが用意されるところも“特別”です。

 ちなみにもうひとつ、お酒が好きな人には“特に特別”だろうものがあります。フリースペースのサロンカーに係員が常駐し、23時まで飲み物が提供されますが、アルコールを含めてフリードリンクなのです。しかも用意されるお酒は「ドン・ペリニヨン2004」や「エビス樽生」「倉敷吟醸 伊七 純米吟醸」「刻の一滴(麦)」「バランタイン 17年」「フラパン グランド・シャンパーニュ V.S.O.P」など種類も豊富。またドリンクは順次、旬のものに入れ換えていきたいと、ジェイアール西日本フードサービスネットの伊福部さんは話していました。

“特別なトワイライト”、お値段も“特別”?

 従来の「トワイライト」とは異なる場所を走るのも“特別”なところです。JR西日本エリア内で、ふたつのコースが計画されています。

 ひとつは「山陽コース」で、下り列車は大阪駅を発車したのち、琵琶湖を一周して山陽本線経由で終点の下関駅へ向かいます。上り列車は下関駅から山陽本線経由で東へ向かい、琵琶湖を一周したのち京都駅が終点です。

 このコースの主な見どころは湖西線からの琵琶湖やJR神戸線からの明石海峡、山陽本線からの瀬戸内海などで、5月と6月に運行される“特別なトワイライト”はこの経路で走ります。ちなみに機関車は下関行き列車の場合、大阪〜敦賀〜京都間は従来の「トワイライト」と同じ緑色のEF81形、京都〜下関間はかつてブルートレインをよくけん引していた青いEF65形がけん引するそうです。

 もうひとつのコースは、7月以降に実施される「山陰コース」です。大阪駅と米子駅(鳥取県)のあいだは山陽本線・伯備線経由で、米子駅と下関駅のあいだは山陰本線経由で運転される予定ですが、詳しい時刻やコースは未定。山陰本線の米子駅から西側は日本海が車窓へ頻繁に登場するため、大きな見どころになるでしょう。

 この“特別なトワイライト”に乗車したい場合、旅行会社専用の団体臨時列車として運行されるため、駅の「みどりの窓口」ではなく、旅行会社(2015年春季は日本旅行、JTB、クラブツーリズム、阪急交通社)へ申し込む必要があります。ちなみに5月16日(土)、最初に出発する“特別なトワイライト”を使った日本旅行(おとなび)のツアーは、大阪駅から下関駅までの「トワイライト」乗車、長門湯本温泉での宿泊(2名1室)、山口県内の観光、昼食、新山口駅から新大阪駅までの新幹線グリーン車がセットになって、大人ひとりの基本代金が「ロイヤル」利用の場合は30万円、「スイート」は35万円です。

 なかなか“特別”なお値段ですが、JR西日本の橋本さんによると1本目と2本目の運行については完売で、それ以外もキャンセル待ちであったり「予約は好調」だそうです。

 JR西日本は、2017年春から「トワイライト」の名を受け継ぐ新たな豪華寝台列車「トワイライトエクスプレス 瑞風」の運行を計画しており、この“特別なトワイライト”が持つ「乗ること自体の楽しさ」を、そこへ引き継いでいくとしています。


gooニュースがリニューアルされて、ブログへアップするのが少し面倒になった気がします。

とりあえず、試験的にですが、この記事を取り上げてみました。

…何度も書くようですが、旅に行きたいなぁと、切に思う今日この頃。