2007年8月28日(火) 心は
25日(土)は二つのコーチングセミナーを受講しました。14時から17時が岸秀光コーチのコーチング体験講座『パラダイム』で、18時半から20時半は札幌の石川尚子コーチの『機能するコーチングとは』でした。終了後にお二人と並んで写真を撮らせていただきました。岸さん、石川さん、ずうずうしく撮らせていただき有難うございました。我が家の家宝にいたします♪
岸さんの『パラダイム』は7月7日にあった「コミュニケーション・フォーラムin福岡」で初めて聞いたのですが、今日はそれを更に詳しく話されました。一つの例を出し、それに基づき『パラダイム』について深く掘り下げられたので、とてもよく理解できました。
(ケース)
母親と3歳の息子がいつも通る路地に入りました。するとそこに犬がいました。母親は通り過ぎましたが、後ろを見ると息子が犬を見てカチンと固まっていました。さあ、あなたがお母さんだったら何と声をかけるでしょう?
岸さんはこれについてたくさんの受講者に意見を聞きました。多かった答えが「大丈夫だよ」や「怖くないよ」です。私も「大丈夫だからこっちへおいで」と言うだろうと考えました。しかし、そこに『パラダイム』があるとのことです。
つまり、「怖くないよ」は『犬は怖いものである』という『パラダイム』があります。また、「大丈夫だよ」という言葉には『人は怖いと動けない』という『パラダイム』があります。子どもはもしかしたら次のことで動かなかったのかもしれない、他にもいろいろ理由が考えられると言われました。
① 犬は何をしているんだろうと思って立ち止まって見ていた
② この犬は何の種類だろうと考えていた
③ 犬を見て何かを思い出している
④ 興味を持って観察中
⑤ 単に家に帰りたくないだけ
⑥ 急におしっこがしたくなった。犬と動かないこととは全く関係ない
⑦ 犬に触りたいと思っている
しかも、この中の一つだけが理由ではないかもしれません。いくつかの理由があるのかもしれません。このように、人はいくつもの『パラダイム』を持っているそうです。
【1番目の『パラダイム』】考え易いものが正解である
人は考えやすいものを正解にするとスッキリします。一方考えにくいものを正解とするとモヤッとします。という訳で、特に日本人はこういう傾向にあるそうです。
【2番目の『パラダイム』】答えは一つだけである
日本人は答えを一つにします。学校でも正解はだいたい一つです。会社での会議でもいい案が一つ出ると、それ以上検討しようとしません。一つで終わりです。一方、アメリカや諸外国では複数の答えがあるのが当たり前だと考えています。いろんな考え方があっていいと学校でも教えています。
日本では 4+6=( )という教え方、考え方をします。
イギリスでは 10=( )+( ) という教え方、考え方をします。
これを見ると日本には答えは一つしかありませんが、イギリス式では無限の答えがあります。また、デンマークでは哲学の授業があるそうです。答えが一つではないものを教えているのです。日本人はいろんな可能性を認めません。答えは一つです。
ここまで聞いたときに、私は日本メンタルへルス協会の衛藤先生から聞いた話を思い出しました。海岸の砂でお城を作っている子どもに、日本の母親はいろんな口出しをし最後には自分が手伝ってきれいなお城を作る。一方、ドイツの母親は全く口も手も出さない。そして出来たものを褒める。また、先日テレビニュースで日本の子どもたちが料理を作っている場面がありました。するとそこにいるお母さんたちが手伝い始め、最後のほうは母親が作っているような絵でした。まあ、料理なので、レシピがなかったら黙っていると滅茶苦茶なものが出来ることはわかります。でもなぜ、口で教えるだけにして、子どもたちに自分で考えさせたり実際に作らせたりしないのだろうと思いました。こういう子どもたちは、自立心が確実になくなるなと思いながら見ていました。
また、【言葉の『パラダイム』】についても話されました。
先ほどの犬の例で、「怖くないよ」というものは「人は怖いと動けない」という『パラダイム』から『チャレンジしてはいけない』という『パラダイム』になります。また、もし子どもが怖いと感じていた場合、母親から「怖くないよ」と言われると、自分の怖いという感情を否定されたことになり、自分の感情を言わなくなるかもしれません。最悪の場合、失感受症になる可能性もないとはいえません。もし、感じなくなろうとして次のようになるとどうなるか。
① 感じてしまう → よりつらくなる
② 感じなくなる → いろんなことを感じなくなる
③ 人がつらいことも感じない → 人に対してひどいことが出来る
また、「「怖いと動けない」ということは、つまり「怖いという心」と「動くという行動」を結びつけて考えています。欧米人は心と行動を分けることが出来るそうです。しかし、日本人はそれが出来ません。「怖いから動けない。だから怖くないと教える」と考えます。「怖いけど動く」という考えは不得意です。
また、このことは「あなたは1人では駄目だ」という『パラダイム』、自立不可の『パラダイム』でもあります。
次に、ではどうやって『パラダイム』をはずすか、という肝心の点を話されました。
先ほどの犬の例では、子どもが動かないのは事実ですが、何故動かないのかはわかりません。そこで、子どもに聞いてみるそうです。「どうしたの?」とか「何が起きたの?」と聞く。すると子どもは答えるでしょう。しかし、そこで質問をやめては答えは一つになります。まだ他にあるかも知れません。そこで、子どもが「他にない」というまで聞くことだそうです。なるほど、とてもよくわかりました。
ただ現実には子どもが「犬に触りたい」などと言うと「危ないから駄目!犬はかむのよ!」と言いそうですね♪(犬はかむという新たな『パラダイム』)
このセミナーで、「思い込まないで、わからないことはとにかく聞いてみる」ということを学ばせていただきました。私は以前と比べると、少しは思い込みをすることが少なくなり、何でも聞いてみようと思っているので、もっとそれを徹底しようと考えました♪
最後に一つのエピソードを話していただきました。これが面白かったので紹介します。
木製のジェットコースターに乗るために、母親と小さな男の子が並んでいました。最初は楽しそうに待っていたのですが、乗り終わった人たちが死にそうな顔をして降りてくるのを見て、子どもは段々怖がり始め、とうとう自分たちの乗る番になりました。ところが、子どもは泣き出して動かなくなったそうです。
(母);どうしたの?
(子);怖いの・・・
(母);そう、他には?
(子);それだけ・・・
(母);大丈夫よ、怖いだけだから。
すると、息子は「うん」と言い泣きながら乗ったそうです。
ジェットコースターから降りたお母さんは、自分自身が息も絶え絶えになりながら息子に聞きました。
(母);どうだった?
(子);(泣きながら)怖いだけだった・・・
今日は長文を読んでいただいて有難うございます。