一夜明ける(2)

  昨夜遅く、アメリカにいる姉から悲鳴のようなメールが来る。実家に電話をしているがつながらず、実家にいる家族の安否が心配だという。向こうでは、大津波の映像が何度も放映され、おそらく千葉の製油所で起きた爆発火災の映像について、「原発が爆発した」と報じているというのだ。とんでもない誤報だ。

  すぐにメールを返し、実家のある街を含めて、東北は全域が停電していて、固定電話がつながらないこと、携帯電話もつながりにくい状態になっていること、ただし、実家の地元の警察署や消防署によると、実家のある街では停電を除いて地震による被害は一切ないこと、「原発の爆発」映像は製油所の火災だろうことを知らせた。

  今朝になって母親と連絡が取れたので、またすぐに姉にメールした。家族は全員が無事で、停電も復旧したから、たぶん今度は電話がつながると思う、と書いた。すぐに返信が来て、今度は安堵のあまり号泣するような文面だった。

  日中はやはりNHKのテレビにくぎづけ。細かい情報は確かに増えたが、自衛隊、消防、警察が被災地に近づけないせいか、大きな被害ほど情報が少ない。民放も見てみたが、昨日の津波の衝撃的な映像を何度も流し、家や家族を失い、家族の安否が分からない被災者に無神経にインタビューしている。腹が立ってすぐにNHKにチャンネルを戻した。

  やがて、福島にある原発関連のニュースが頻繁に報じられる。「原発が安全」なんて、やはり大嘘だった。

  昼過ぎ、郵便物が届けられる。「今日はさすがに配達はないと思ってました」と言うと、可能な地域では配達は普段どおり行なう、という返事。ただし、東北と北関東地方への郵便物は、受付、配達ともに停止されているそうだ。

  コンビニに行く。おにぎり、弁当、惣菜、パン、そして携帯電話の電池と簡易充電器がすべて売り切れ。カップラーメンもほぼなくなっていた。スープ春雨はあったのに。でも、店舗で作るコロッケ、から揚げ、おでんは豊富にあった。

  保存のきく真空パック詰めの惣菜と袋ラーメンをいくつか買った(カップラーメンは売り切れで袋ラーメンは残ってるってどーいうこと!?)。おかしいのは、こういう時って、普段は買わないような物を買ってしまうことだ。チョコレートとか果実入りゼリーとか。それとも、危機意識があって緊張しているときは、甘いものが食べたくなるのかな?

  コンビニの店員さんに、なくなっている品物について聞いたら、輸送が滞っているのではなく、工場が稼動を停止しているので、おにぎり、弁当、惣菜、パン類は全部ないということだった。東京電力の節電要請に応じたのかもしれない。

  関東地方は、たぶん週明けに正常化をめざしているのだと思う。 
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