ボリショイ・バレエ『ラ・バヤデール』(12月4日夜公演)


  あくまで個人的な感想ですが…。

  超一流バレエ団による超二流な公演を観た、という印象です。

  これがたとえばキエフ・バレエやミハイロフスキー劇場バレエの公演なら、大絶賛もののレベルでしょう。でも、これはボリショイ・バレエの公演です。ボリショイ・バレエの本来の実力からすれば、このような舞台を見せてはいけないと思います。

  ただ一つ、ガムザッティ役のアンナ・チホミロワは大当たりでした。驚異的な身体能力を持っていることは、ボリショイのダンサーですから当然でしょうが、加えて鉄壁の技術、そして極めて優れた演技力と表現力とを持っています。(第二幕のグラン・パ・ド・ドゥ、ヴァリエーションの最後とコーダでやや息切れしてしまったようですが、これは経験を積むことで解決していける問題でしょう)。

  なにより、チホミロワはオーラというか非常に華のあるバレリーナで、自然に目が吸い寄せられました。マリーヤ・アレクサンドロワと雰囲気が似ています。また、ナターリャ・オシポワも彷彿とさせました。つまりはスター性があるということだと思います。先が楽しみです。

  ボリショイ劇場管弦楽団の演奏は相変わらずテンポが爆速。「太鼓の踊り」での打楽器が特にすばらしく、高揚感をいっそう盛り上げていました。『スパルタクス』でもそうでした。ボリショイ劇場管弦楽団の打楽器は実に爽快で力強く、聴いているほうもエキサイトします。

  ユーリー・グリゴローヴィチの「改訂」は、もはや「改悪」の域に達しているのでは。屋上屋を架すとはまさにこのことだと思いました。もういいかげん、毎年毎年、しつこく改変を重ねていくのは止めたほうがいいのに。

  詳しい感想は、後日書けたら書きたいと思いますが、正直それほどの舞台ではなかったという気がしています。

  
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