「ディアナ・ヴィシニョーワ 華麗なる世界」Bプロ(8月21日)


  7時開演で終わったのはなんと10時過ぎでした。休憩時間は2回あったものの、いずれも15分ずつと短かったです。

  ほとんどのダンサーたちのパフォーマンスはレベル高かったです。当初はチケット代、高すぎない?と思ってましたが、これほどの濃ゆい公演ならコスパ最高。

  特に、ニューヨーク・シティ・バレエからのゲスト、アシュレイ・ボーダーがすばらしかったです。

  ボーダーとホアキン・デ・ルースが踊った「タランテラ」を観て、ああ、「タランテラ」って、こう踊られるべきだったんだ、と思いました。ロシアやイギリスのダンサーたちが踊る「タランテラ」とはまったく別の作品のようでした。

  同じくボーダーとデ・ルースが踊った「パリの炎」は、どうしてもナターリャ・オシポワとイワン・ワシーリエフが踊ったのと比べてしまいました。でも、ボーダーはジャンプの高さではオシポワに敵わなくても、技術では負けていないのでは?

  ヴァリエーションも見ごたえがありましたが、コーダでのボーダーはただただ凄いの一言。

  アメリカのバレエ団のダンサーたちにありがちなわるい癖、ウケ狙いで中途半端にしかできない凄技を無理にやるんではありません。ボーダーは無理なく余裕たっぷりに凄技を見せます。

  「パリの炎」のコーダの前半、デ・ルースが踊り終えてボーダーが踊り始めたら、ボーダーから決して目を離さないで下さい。凄いことを2回やるから。軽く跳ねるような回転ジャンプをして着地するときです。彼女の足元に注意。

  パリ・オペラ座バレエ団のマチアス・エイマンの成長ぶりにびっくりしました。身長が伸びたばかりでなく、男性ダンサーとして極めて理想的な整った体型になって、テクニックも更に磨かれ、とても良いダンサーになりましたね~。男性ダンサーが回転しながら顔の向きをずらしていく技は初めて見た。

  メラニー・ユレルはちょっと不安定でした。急に出演することになったので、準備が間に合わなかったのかも。

  ヌレエフ版『眠れる森の美女』グラン・パ・ド・ドゥ、王子のヴァリエーションでのマネージュは、ヌレエフがああいう振付にしたんですか?『海賊』のアリかよ!と心中ツッコんでしまいました。

  イーゴリ・コルプは相変わらずヘンな兄ちゃん(笑)でした。でもそのヘンさが、「レダと白鳥」の白鳥にはぴったり。「薔薇の精」でもそうですが、コルプはときどき性別不明、人間なのか動物なのか不明、生物なのか非生物なのか不明という、なんか不思議な雰囲気になります。それが、『カルメン』のエスカミーリョになると、一転してお笑い路線に。

  個人的には、ハンブルク・バレエのエレーヌ・ブシェとティアゴ・ボアディンが踊った「ナウ・アンド・ゼン」がいちばん好きです。さすがノイマイヤー、ラヴェルの「ピアノ協奏曲ト長調」、あの第2楽章を見逃さなかったのね。なんで誰も振り付けないのか不思議に思ってたんですよ。

  しっとりした美しい音楽と、物哀しい切ない雰囲気の振付が良く合っていました。ただ、ボアディンの衣装がグレコ・ローマン・スタイル70キロ級。

  詳しくは後日また。

  人違いかもしれんが、デボラ・マクミラン(故ケネス・マクミラン夫人)らしき女性を見かけました。今週末に小林紀子バレエ・シアターの『マノン』があるから、それで来日してるのかしらん?「キーロフ・バレエ・イン・パリ」のDVD(←ルジマトフとザハロワの『シェヘラザード』、コルプの「薔薇の精」、ヴィシニョーワの『火の鳥』が収録されている)のポスターにしげしげと見入っていました。

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