全仏オープン ロジャー・フェデラー総括-4


 注1:以下の記事には、ロジャー・フェデラーに対する悪口雑言が含まれています。フェデラーの悪口を読むのが我慢ならないというファンのみなさまは、どうか閲覧をお控え下さい。

 注2:念のために申し添えておきます。私は本来、バレエとかミュージカルとかを観るのが好きなんですが、熱狂的に応援している大好きなダンサーに対しても、彼が良くないパフォーマンスをしたと感じたら、そのとおりに書いてしまう性分です。そのダンサー本人に面と向かって批判を口にしたこともあります。ファンだからといって、なんでもかんでも褒めまくることは性格的にどうしてもできません。なにとぞお許し下さいませ。


 準々決勝 対ジョー・ウィルフリード・ツォンガ(フランス)

   5-7、3-6、3-6

  今回ばかりは怒ってます。フェデラーに。

  よくもあんなひどい試合を見せてくれたな。死に物狂いで戦ったのに、準々決勝までたどりつけなかった他の選手たちに失礼だと思わないの?

  同じひどい試合でも、マドリッド・オープンでの対錦織圭戦のほうがまだマシだったよ。

  ツォンガは確かに強かったです。速くて高く弾むファースト・サーブがほぼ完璧に入り、リターンもパワフル、しかもコントロールがよく効いていて鋭く、ネット・プレーもフェデラー以上にすばらしかったです。精神的にもずっと安定しており、最後まで自信と集中力とを保ち続けていました。

  でも、フェデラーは絶対に勝てないわけじゃなかったと思います。実際にツォンガのサービス・ゲームを2度もブレークしたわけですからね。他にも、ツォンガが崩れかけた隙は何度もありましたから、勝てるチャンスは充分にあったはずです。

  ところが、ファースト・サーブは入らないわ、セカンド・サーブも入らないでダブル・フォールトを犯すわ、サーブが入ってもスピードはないし弾みもしないわ(そこをツォンガに叩かれた)、凡ミス(←いつものフェデラーなら絶対にミスしない簡単なショットを打ち損じる、アウトになる)を量産するわ、きちんとショットの組み立てをせずにやみくもに打ち返すわ、精神的に崩れて苛立ちを露わにするわ、敗因はズバリ自滅です。

  パワーでは自分よりも勝る相手と同じ土俵の上で勝負してどうすんの。フェデラーはツォンガのプレー・スタイルに巻き込まれて、同化してしまいました。唸りながら力任せに打つだけのプレーなど、およそフェデラーらしくありません。「エンドレス絶叫強打ラリー合戦」は他の選手たちに任せておけばよいのに。

  今日はフェデラーらしい高度な技術のプレーがほとんど見られず、戦略や組み立ても感じられませんでした。対ジル・シモン戦では、試合を観ながらしょっちゅう思わず拍手してたけど、今日はまったく拍手しなかったです。

  観客のせいにもできないですよ。全仏オープンの観客は、確かに会場が一丸となって選手たちに容赦ない野次やブーイングを飛ばし、時に試合結果を左右してしまうほどですが、今回は別に自国のツォンガばかりを応援してたわけではありません。

  もう復帰後1週目や2週目ではないんです。同じ負けるにしても、最善を尽くしてほしかった。

  ……と、怒りを思いっきり吐き出したところで、冷静になりましょう。

  フェデラー、やっぱり4回戦の対ジル・シモン戦で転倒したとき、足首を痛めたね。フェデラーの公式サイトに掲載された、対シモン戦についての最初の記事には足首の件が書かれていたのに、改訂された記事では足首に関する記述が全部削除されていたので、おかしいと思いました。

  最初の記事には、対シモン戦直後のフェデラーのコメントが載っていました。「足首については、明日の状態を見てスタッフたちと話し合う」という内容でした。ファンのコメントも、フェデラーは足首を痛めたのではないかという内容が多かったです。ところが、最初の記事に引用されていた、足首についてのフェデラー自身のコメントはすぐに削除されました。

  翌日になってフェデラーが自分のツイッター上で「今日は無理をしないよ。軽く打って、それからストレッチするだけ」とつぶやきました。このツイートが、ファンの間で話題になったのかもしれません。数時間後、ファンのツイートに対し、フェデラーは「足首の状態は良いよ。ただの心配に終わってよかった。明日の試合(対ツォンガ戦)が楽しみだよ」と返信しました。

  でも、今日の対ツォンガ戦での、フェデラーのあの異様に精彩のないプレーは、ただ単にフェデラーの精神面や調子の問題だけじゃなかったことはバレバレです。足に力を入れることができなかったんでしょう。

  それが特にサーブの入りの異常な悪さ、スピードと威力のなさ、ほとんど弾まない、といったことに表れていたのだと思います。足首への不安が、集中力の欠如、苛立ち、そして大量の凡ミスにつながったというのが本当のところでしょうね。

  これは負け惜しみじゃなくて(まあ多少はそうなんだけど)、フェデラーの今日のプレーのひどさは、「ツォンガがとても強かったから」だけではマジで説明がつかないレベルだったのよ。

  フェデラーは出場した以上は途中棄権しない主義で、しかも自身の故障や怪我については徹底して隠しとおします。今回の敗戦も怪我のせいだとは絶対に言わないでしょうし、足首の怪我がどの程度なのかについても、今後も言及することはないと思われます。

  全仏オープンが終われば、すぐに芝の大会が始まります。あまり時間がありませんが、治療に専念してほしいと思います。怪我の状態が軽いものであるよう、またウィンブルドン選手権までにはなんとか完治してくれるように祈るばかりです。

  とりあえず、全仏オープンベスト8進出、おめでとう。


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