東京観光(1)

  ボリショイ&マリインスキー合同ガラBプログラム(9月2日)には、私の母親も連れて行きました。彼女はその前日の土曜日(9月1日)に2泊3日の予定で秋田から上京したのです。

  母親は若いころは東京に住んでおりました。夫が亡くなって、それで子どもたちを連れて郷里の秋田へと帰ったのです。

  「どこに行きたいかは自分で決めろ」と私は前もって念を押しておきました。母親は東京の観光ガイドを買って、一生懸命に研究したようです。ガイドブックには付箋がいっぱい挟んでありました。

  上野で落ち合って、さてどこへ行きたいかと尋ねてみると、アメ横に行きたいと言うのです。そこでアメ横を散策&買い物しました。私がアメ横に行くのは10年ぶりくらいでした。

  気づいたのは、まず観光客に外国人、特に中国人がやたらと多かったことです。通りを飛びかうのは中国語ばかりでした。驚いたことに、店の店員にも中国人が多かったです。鮮魚店の兄ちゃんもネイティブの中国語を話していました。

  こう言ってはなんですが、店によっては怪しげな商品が置いてありました。でも、あの雑多で威勢の良い雰囲気に押されて、私もついバカな買い物をしてしまいました。

  それは健康食品だったのですが、その商品が欲しかったというよりも、店員の兄ちゃんとの値引き交渉が面白かったからです。日本では(特に東京では)値引き交渉なんてめったにやりません。お互いの妥協点をじりじりと近づけていく値引き交渉はとても面白かったです。

  その後は鈴本演芸場に落語を聞きに行きました(これも母親の希望)。夜の部です。5時20分から8時40分までという長丁場ですが、出入りは自由だし、飲食もできるので、気軽な気持ちでした。

  落語を生で聞くのはたぶん2度目だと思います。最近、自分の日本語のヒヤリング能力が落ちていると感じていたので、耳だけに頼って聞くという経験は大事だと思いました。

  落語が7つ、曲独楽が1つ、漫才が1つ、手品が1つ、太神楽曲芸が1つというラインナップでした。夜の部のトリを務めたのは柳家甚語楼という人でしたが、やはりトリを務めるだけあって、その前に落語を披露した噺家さんたちとは別格でした。

  話の内容を書くとマズイと思うので書きません。でも最初から最後まで抱腹絶倒でした。話の流れはある程度読めるし、オチも察しがつくのですが、それでも面白かったです。滑舌はすばらしく、登場人物ごとに口調を変え、しかも極端な江戸弁ではなく、とても聴き取りやすかったです。表情も豊かで、また「間」の取り方が実に見事でした。さすがはトリを務める噺家だけのことはある、と感心しました。

  その後は隣にある中国料理屋で遅い夕食をとりました。そこは日本の中華料理屋ではなく、割と本格的な中国料理を出す店です。でも母親の口には合わないだろうと思ったので、あっさりした味つけの、母親にも食べやすいであろう料理を頼みました。

  おかげで私はフラストレーションがたまりました。もっと辛い味付けの料理が食べたかったし、中国西方独特の香辛料で味つけした羊肉炒めも食べたかったのです。でもそれは今度ともだちと行こう、と思って耐えました。
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