いやなこと、いいこと

  今日はKバレエカンパニー2月公演「白鳥の湖」の、チケットスペースによる先行予約受付日でした。私の目当てはもちろん、吉田都さんがオデット/オディールとして交互に出演する2公演でした。

  午前10時きっかりに電話しました。するとさっそく「こちらはNTTです。この電話はただ今たいへん混雑しています。申し訳ありませんが、しばらく時間をおいてから、後でおかけなおし下さい」(←暗記してしまった)というメッセージが流れました。

  その後の展開はもう読めましたね。とーぜんリダイヤル作戦でいきましたが、何度かけても「この電話はただ今たいへん混雑しています」というNTTのメッセージが流れ、たまに繋がってもいつも話し中でした。

  3時間後、ようやく呼び出し音が鳴り(おお神よ!)、オペレーターが電話に出ました。吉田さんの出演する2公演のS席を申し込みました。オペレーターは「はい、では、1階席は両方の公演とも売り切れですので、2階席の13列の右端と15列の左端のお席をご案内できます」と言いました。

  その後の展開はもう読めましたね。チャウさん、またまたバクハツしちゃいました。全くおとなげないですねえ。オペレーターとのやりとりは、直接話法で書くととても恥ずかしいので、概要だけ書きますね。

  私は朝からリダイヤルでずっと電話をかけ続けていたのにさっぱり繋がらなかった。今こうして3時間が経過して、ようやく繋がったと思ったら、残っているのはよくない席ばかり。今回は購入者を限定した先行予約のはずなのに、なぜこんなに電話が繋がらないのか。また、なぜよくない席しか残っていないのか。私はこう尋ねました。

  それに対するオペレーターの答えはこうです。電話が繋がらないのはみな同じだ。また、席については、最も多くの席がファンクラブの会員に優先的に割りふられており、その次が今回の先行予約分、残りが各チケット会社の販売分として割りふられている。よって、いい席を早く確保したいなら、ファンクラブに入るのがいちばんよい。

  私は特に、電話が繋がらないことに対するオペレーターの回答は、ほとんど答えになっていないと思ったので、更に尋ねました。私はこれまでもチケットスペースの先行予約を利用するたびに、受付電話の回線数をもっと増やすようはっきり言ってきた。また今回はいつもより以上に厖大な量の電話がかかってくることは、簡単に予想できたはずだ。いったい今回は何台の電話で対応しているのか。

  オペレーターは最初はっきり言いませんでしたが、ようやくたった30数台の電話で対応していると教えてくれました。以前の私の要望にはきちんと善処してきた、ということですから、以前はもっと少ない、30以下という回線数だったのでしょう。

  更に私は尋ねました。電話が一般発売初日と同じくらい繋がりにくい上に、またチケットの大部分がファンクラブの会員に優先的に回され、先行予約分には数に限りがあり、早く電話の繋がったごく少数の幸運な人だけがいい席を購入できる、というのなら、この「先行予約」は大多数の消費者にとって、果たしてどんなメリットがあるというのか。

  オペレーターは、まず先行予約と一般販売との、合計2回のチケット購入の機会をお客様が得ることができるし、次にチケットぴあなどとは違って、その場で席番が分かる、いい席だって含まれている、と答えました。

  私が考えていた「先行予約」のメリットとは、一日中電話の前から離れられない、といったチケット購入に伴う面倒を回避でき、またいい席を優先的に購入できる、ということでした。ところが、少なくともチケットスペースにとってはそうではなかったようです。この答えには大変に驚きました。

  私は、だったらせめて、オンライン・ブッキング・システムも加えて、消費者が時間を無駄にしないようサービス改善してくれ、と頼みました。でもオペレーターは「それはできません。電話だけです」と言いました。

  一日の半分を無駄にした上に、オペレーターと不毛な議論をして、私はすっかり絶望してしまいました。最後に私は、「つまり、チケットスペースは、実は席をあまり持っていない、とおっしゃるんですね。だったら、『先行予約』なんていう、消費者に実質的なメリットのほとんどない販売はやめて下さい。少ない電話回線だけで受け付けて、オンライン・ブッキング・システムを設けるつもりもないんですね。なら、チケット販売会社なんてやめたらどうですか」と言って電話を切りました。もちろんチケットは予約しませんでした。

  とてもイヤ~な気分のまま、急いで仕度をして「雷雨」を観るために出かけました。会場は四季劇場(浜松町)の[秋]です。イヤな気分はまだ続いています。席に座りながら、気持ちを切り替えなきゃ、と自分に喝を入れていると、会場の係員がとつぜん目の前に現れ、「あのう、お客様」と声をかけてきました。

  私は前のほうの列ではありましたが、いちばん端の席に座っていました。係員の人は「このお席では見づらいところがございますので、別にお席をご用意いたしました。よろしければそちらにお移りになりませんか?」と言いました。

  係員の後についていくと、なんと前から数列目のセンター席でした。この四季劇場の係員の女性は、穏和な態度で、丁寧な口調で話す人でした。それに、劇場側が見づらい席に座っている観客を探して、空いているもっといい席に変えてくれるなんて、初めての経験でした。

  チケットスペースのオペレーターとかなり感情的なやり取りをした後だったことも手伝って、私は嬉しくて涙が出そうでした。「雷雨」を上演するのは北京人民芸術劇院ですが、この公演には劇団四季が協力しています。その親切な係員のおかげで、というよりは、四季劇場と劇団四季の観客に対する基本スタンスが分かったおかげで、私は救われたような気持ちになりました。

  日本もまだまだ捨てたもんじゃないわ、と思いました。    
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