リトル・ダンサー

  映画「リトル・ダンサー」のコレクターズ・エディション版を買いました。特典ディスクの中に未公開シーンや追加シーンが収録されているというので、ひょっとしたらクーパー君の未公開映像もないかと思ったわけです。

  残念ながらクーパー君の未公開映像はありませんでした。でも特典の「ミュージック・セレクション」の中で、映画のラスト・シーンをバックに監督のスティーヴン・ダルドリーがコメントを入れています。以下にその部分を引用します。「リトル・ダンサー」をご覧になったことのあるみなさんは、ラスト・シーンを思い浮かべながら読んで下さい。
  
  「外観はロイヤル・ヘイマーケット劇場、中はノッティンガムの劇場だ。ちょうど撮影当夜はマシュー・ボーンの『白鳥の湖』を上演していた。マシューはとても好意的で、ダンサーと振り付けに協力してくれた。」

  「成長したビリーを演じてるのは、あのアダム・クーパーだ。ラストにはマシュー・ボーンの『白鳥の湖』を使いたかった。全員、男性ダンサーで構成された、まったく新しい解釈の『白鳥の湖』だ。アダム・クーパーの白塗りのメイクも映画に都合がいい。大人になったビリーだと思ってもらいたかったので、素顔は見せたくなかった。メイクのおかげでビリーだと感情移入できる。」

  「舞台裏の緊張感のすべてを余すことなく映画に収めた。そしてアダム・クーパーの跳躍。NGが出た。アダムのせいでなく技術的な問題だ。『白鳥の湖』から『ライド・ア・ホワイト・スワン』へ、これもリー・ホールのアイデアだ。再びアダム・クーパーの姿が映る。美しい連続ピルエット。どうしてもラストにジェイミーを入れたかった。アダム・クーパーの姿と重なるように。」

  本物の「白鳥の湖」公演に便乗して映画を撮影したとは知りませんでした。低予算映画だったというのは本当のことだったんですね。

  未公開シーンと監督のコメントはどれも面白かったです。カットされた映像は、暴力的なシーン、やや性的なシーン、倫理的に問題なシーン、時間的な都合でカットせざるを得なかったシーンのようです。

  ビリーの兄ちゃんのトニー未公開シーンは、監督のダルドリーもコメントしていたように面白いものばかりでした。なんかトニーとビリーが二人して石炭泥棒をやらかした後、トニーが真っ黒になったビリーの顔をぬぐって洗ってやっている。
  ビリーが「お母さんが恋しくない?」とトニーに尋ねると、あの乱暴者のトニーが、ビリーの体をぬぐいながら静かな顔で「恋しいよ」と答える。

  あとは、ダルドリーが暴露したエピソード。ビリーはロイヤル・バレエ・ロウアー・スクールを受験します。ロイヤル・バレエ・スクール側は当初、学校名が映画中で使われることをあまり歓迎していなかったそうです。
  ところが、映画がミュージカル化されると決まった途端に、手のひら返したように態度が軟化したそうです。なぜかというと、ミュージカルのおかげで、ロイヤル・バレエ・スクールへの入学生が増えるかもしれないから(笑)。

  この他にも、撮影の裏話とか、映画のストーリーの背景とかがたくさん紹介されています。クーパー君の未公開映像がなかったのは残念ですが、この映画が好きな方は買っても損はないと思いますよ。  
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