第10回
『岐路』
『医療行為とは選択の連続だ。
出血を覚悟で手術に踏み切るか、
保存的治療で押し通すか。
いずれにせよ、その別れ道は
選んでしまえば二度と引き返せない。
リセットは出来ない。
それは人生と同じ。
不確かな分かれ道の連続。
でもどちらかを選び進んで行くしかない。
人生の岐路は容赦なく迫って来る。』
緋山と藤川はオペ中に言い争い。
「意識ない患者だと元気いいな、お前。」
「訴えられそうになったの。
分かる? この気持ち。」
「全然分かんねぇ。
訴えられそうになったんだろ?
寸止めだろ? ビビってんじゃね~よ。」
「私には強気だね。
冴島には告白したの? 好きなんでしょ?」
「バカ。お前、なんっつーことを。」
「ビビってんじゃね~よ~。」
「24日、シフト代わってもらっていいか?
母親の命日なんだ。
ばあちゃんに連れられて、
20年以上訳も分からず行ってたけど、
今年はちゃんと行きたい。」
白石の父博文は田所の見舞いに来る。
娘とランチの約束をしてたが約束の時間は過ぎていて、
飛行機を一便遅らせることに。
「出来すぎた娘だよ。
あとは孫の顔でも見れたら、
いつ死んでもいいんだけどな。」
黒田も田所の見舞いにやって来る。
「さっきフェロー達が多発外傷のオペをしていたが、
すっかり医者の顔になっていた。
その分、こっちが老いたということになるんでしょうね。」
そこへ橘が入って来て挨拶する。
「手術の無事を祈ってます。」
黒田が言い、出て行こうとするところ、
田所が呼び止める。
「黒田先生、万一の時は宜しくお願いします。」
黒田が西条に声をかける。
「部長を殺すなよ。」
「いつも通りだ。」
そして田所のオペが始まる。
絹江に電話する藍沢。
24日、行くからと伝える。
「なあ、ばあちゃん。
あの人は、来てたのか? 墓参り。」
「いや、私は知らないけど・・・」
「そうか、分かった。じゃ。」
黒田を見かけ声をかける藍沢。
「腕は?」
「あの切断で元に戻るのは難しい。
2度の神経移植と1日2時間のリハビリ。
1年半かけてこの程度だ。
メスはもう握れん。
さっき西条に言われた。
小ざっぱりしたってな。
夜中の呼び出しもなく、朝6時に起きて、
夜10時に寝る毎日だからな。」
「平凡な生活ですね。」
「その通りだ。
しっかり走れよ。
全力疾走出来る時間は意外と短いぞ。
振り返ってみるとな。」
ドクターヘリ要請が入る。
飛行機がエンジントラブルで引き返し、
成田に着陸しようとしたらしいが、
近くの空き地に不時着して炎上。
「便名分かりますか?」
「JEA21便、50人乗りのエアコミューター。
羽田発青森行き。」
「父が乗ってる飛行機です。」
白石は自分も連れて行って欲しいと頼む。
「不安で手に付かないようなら行くのやめろ。
向こうは医者を待っているんだ。」
と藍沢に言われるが、
「分かってる。医者として行くから。」
現場へ着いた三井たちは茫然とする。
取り敢えずトリアージしていくことに。
田所のオペは動脈瘤が邪魔で椎骨動脈を遮断出来ない。
循環停止法に切り替えることに。
怪我人が運び込まれた体育館はごちゃごちゃ。
藍沢は整理をする。
白石も到着し、みんなそれぞれ治療にあたる。
白石が処置を手間取っていると藍沢が代わって処置。
「集中しろ。」
緋山は三度の熱傷で極めて危険な状態の男性を見る。
奥さんに容体を伝え、治療の選択を迫ってしまう。
緋山に代わり橘が男性に挿管する。
「この状況で家族に判断出来る訳ないだろう。
ここで判断するのが俺達の仕事だ。
いつまでも引きずるな。
野上翼は帰って来ないし、
提訴は取り下げられた。
今出来ることをしろ。」
「また間違うかもしれません。」
「お前がやったことは間違いじゃない。
ただ結果が悪かった。
逃げるな、緋山。」
田所のオペは依然厳しい状況。
やるしかないと西条。
白石の父はまだ見つからない。
身体的特徴で知っていることは3つだけと言う白石。
「俺は何も知らない。」と藍沢。
「同じ顔だな。
翔北へ来た頃の、弱くて情けない。
黒田先生に何を教わったんだ?
お前は医者だ。人を救え。」
鎮火したとの報告を受け、
橘、藍沢、白石は現場へ行く。
そこで怪我人の指示をしている博文の姿が。
「お父さん。
怪我してるじゃない。
なんで体育館に行かなかったの?」
「すまない。
でも、父さん医者だから。」
田所のオペを見守る黒田。
制限時間の20分を過ぎてしまう。
白石のお父さんが取り敢えず無事で良かったよ。
田所は危険な状況になってるけど・・・
大丈夫かな?
まさか田所が死んで黒田が引き継ぐことになるんじゃ・・・
次回は最終回。
どうなることやら。
コード・ブルー ~ドクターヘリ緊急救命~ 全11回
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