エスティマ日和

『ぼくたちと駐在さんの700日戦争』2章まで収録の、エッセイ集です。独立しました。

ホンダライフの雪だるま(完結編)

2006年03月22日 | 雑記
先日のイラスト。あれも一応、コンピュータで書いているので、CGと言うのかも知れませんが、とするとCG屋さんとしてはいかがなもんかなー、などという疑問がないでもありません。

『ホンダライフの雪だるま』、本日が完結編です。いきなり完結編から入られたかたは、おそれいりますが『ホンダライフの雪だるま』(前編)よりお読みください。

慣性の法則

先生は授業そっちのけで愛しい新車「ホンダライフ」の元へと走ってまいりました。廊下は走っていいのか?とか、小さな諸問題はあるものの、先生の気持ちは察するにあまりあるものがあります。
我々は、教室の窓から、全員でこの様子を見守るしかありませんでした。

「そうか。下半分は、金属と接合しているからはがれてしまったんだ」
などと、くだらん分析をしている仲間(犯人のひとり)もおりましたが、すでにそういう問題を通り越しています。

眼下にはホンダライフに駆け寄る先生。
と、思ったら、他の先生も飛び出して来ておりまして、3人ほどがホンダライフのまわりに集まられておりました。
うち、最も呆然としているのが担任の先生なので、我々はすぐに先生を見分けることができました。
他の先生方も、おそらく窓から、ホンダライフと雪玉(すでに雪だるまではない)が見えたのでしょう。彼らにすれば、先生の留守中に、とんでもないイタズラを見過ごしてしまっていたわけで、しかも、あろうことかその最中、製作中の我々とほほえましくあいさつなどかわしていたわけですから、責任を感じたのでしょう。

我々にしても、まさか屋根がひっこんでいるとは思わなかったので、今さら先生の元へ出て行くわけにもまいりません。ただただ、その様子を見守るしかなかったのです。

しかし、ガキとは言え、よってたかっても上げられなかった雪玉。大人3人でも簡単には落とせません。
先生方は、あれこれ努力をなさっておられましたが、なおかつ天井がひっこんでしまっておりますので、なかなか落とすことができませんでした。
なにか話し合われている先生方。そして彼らは、実に高学歴らしい、対処法を生み出したのです。

まず、先生方は、みんなで車の前の雪をどけられました。
この騒ぎに、さらに先生が2名ほど出て来られ、あっと言う間にライフ前の雪は除去されました。
そして担任が、雪玉が乗ったままのホンダライフに乗車。エンジンをかけられました。
なぁるほど。どうやら急発進して、雪玉を後ろに落とそう、という算段のようです。
いわゆる慣性の法則を利用しよう、というもの。あったまいい。

そして先生はホンダライフを急発進!

が。

ホンダライフという車。そもそも馬力が30ps程度しかありません。そこにおもたい雪玉をのっけているわけですから、たいした加速はしませんでした。

問題の事態はこの後におきました。

走り出したホンダライフは、雪玉を乗せたまま。
そして先生方が空けた助走路をあっと言う間に走りきってしまい、そこでライフが急停車。

ごろ~ん。

落ちました。雪玉。

前に。

慣性の法則ってやつです・・・。

メキメキ。

こんなでかいもんが落ちてくれば、ボンネットはひとたまりもありません。
あろうことか、ホンダライフは天井のほか、ボンネットもへこんでしまいました・・・・・。

大慌てで車から飛び出した先生。
もちろん、この方法を考案された先生も真っ青です。

こりゃまずい。

我々はろくな話し合いもなく、先生にあやまりにいくことにいたしました。
なにしろ購入1週間の新車。こりゃあんまりです。
「先生・・・・すみませんでした~」。

が、ラッキーなことに、悪事をした仲間のひとりに、小口くん(仮名14歳)という整備工場の息子がいて、こいつが全責任をとることを申し出ました。
うーん。持つべきものは友人です。おもいっきり主犯格のひとりですが。そもそも「ピラミッド作戦」を言い出したのもコイツです。

連絡を受けたこいつのオヤジが、その日のうちに車をひきとりにまいりました。

「ありゃー、先生。なにしたんですか?コレ?」
「・・・・・」

いや。あんたの息子たちがやったんですって。

「だいじょぶですよ。先生。すぐに直ります。あの、料金は・・・・」。
「・・・・・・」。
「あ。はいはい」。

無言ですごい剣幕の先生と、必死に目配せする息子たち。オヤジはうすうす事態を把握したようでした。

しかし、さすがプロのオヤジ。なんと翌朝には、ホンダライフはもとどおりの元気な姿になってもどってきました。

これに痛く感動された担任の先生は、小口くんに、平身低頭、深く深くお礼を言うのでした。
「本当にありがとう。たすかったよ」。
涙も流さんばかりに生徒に頭を下げる先生。

すると小口。主犯格のくせに
「いやいや。また困ったらいつでも言ってください。先生」。

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6 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
Unknown (sainei)
2006-09-01 12:55:58
はい、もぐらたたきのごとく

本日はここに現れましたよ~笑

この手のいたずらって、

どうしてこんなに楽しいのでしょね。



しかし、中学生でここまでやるとは。。。。

むむむむ、さすがです。



給食の配膳室にて、牛乳を30本

イッキ飲みやったヤツらはおりましたけどねぇ



Unknown (ローニン)
2007-08-26 20:18:31
ただいまエスティナ日和巡回中です。こっちには初米♪


おお!!もしやこの小口くん(仮名14歳)は今ぼくちゅうで活躍中の麻生くん(仮名)じゃないですか!!??

なんかこのやりとり、もとはといえばチャーリーがキャブレター交換したのが原因でバイク壊れたのに最終的にチャーリーが直したから五十嵐さんから感謝されてるシーンとそっくり(笑)いやぁ~中学からこんな感じだったんですね(笑)
小口君?? (りんごあめ)
2007-09-21 23:39:31
これはまちがいなくチャーリーだぁ!!
Unknown (ですよね↑(たっつ))
2008-01-13 22:49:09
ボクも、そう思いながら見てました。
Unknown (みぃ)
2008-05-31 09:37:44
ボンネットのぶんも無料で修理とは太っ腹!
Unknown (泪)
2010-02-21 19:13:18
チャーリーは二人モデルがいるんですよネっ!?

麻生くん(仮名)と
小口くん(仮名)
ですか?

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