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測色012 - 馬車道駅の塗装色

2011-09-04 21:42:39 | 建築・工作物・都市の色
みなとみらい線、馬車道駅。内藤廣氏の設計です。



どっりしとした煉瓦積の壁の印象も去ることながら、各所に見られる塗装色が印象的です。煉瓦よりも少し鮮やかな錆色、という表現になるでしょうか。



この塗装部分は1.0YR 4.0/5.0程度のベースに、5.0BG 4.0/2.0の『斑(ふ)』が加えられています。昔小学生の頃、紙にパターンや質感を表現する際、金網に歯ブラシで絵の具をシャシャッと撒き散らす技があったと思いますが、そんな雰囲気です。かなり寄らないとわかりませんが、深緑色の斑点を見ることが出来ます。

塗装は均質でフラットな仕上面との相性が良い仕上げの一つです。ですがともするとフラットすぎてボリューム感が増したり、ちょっとした汚れや傷が目立ちやすかったり、という側面もあります。

馬車道駅はダイナミックな吹き抜け空間を支えている構造物である柱をあえて剥き出しにすることにより、開放感を感じさせつつも堂々とした安定感が漂って居るように感じます。この柱をフラットな塗装にしてしまうと他の建材や空間のスケール感に対し少し頼りない印象を与えてしまうのではないか、と思いました。



駅構内は重厚な煉瓦や、横浜銀行から譲り受けたという金庫の扉など、土地の記憶を継承しようという意思と工夫が感じられます。

10年から20年という時間に、内容が耐えられるものでなくてはならない。さらには、都市施設なのだから、実際に供用されるその先の長い時間にも耐えねばならない。
(新建築2004年1月号・内藤廣-長い時間と向き合う都市の駅より)

他の作品に対する解説や著書でも常に語られている、この時間の経過に対する内藤氏の姿勢は常に私も目指している部分です。都市施設以外でももちろん、数年先の変化をどう読み、変化の幅を含めた素材・色の選定を行うかということは、色の見え方を長持ちさせるために最も重要な要素であると言えます。

遠目ではわからない、手の混んだ仕上げ。人の目線に対しある強度を持って訴えかけてくる素材の質感。表面仕上げと侮ることなかれ、といつも(勝手に)内藤氏の教えを受けているような気持ちになります。
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