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無彩色と低彩度色の間

2011-02-09 13:01:36 | 色彩指定のポイント
普段、建築や工作物の外装だけでなく、空間を構成する様々な要素の色彩設計を行っています。その際、どのようにすれば色彩調和が得られやすいかを第一に考えますので、色相(色味)に気を使うのはもちろんですが、特に彩度(鮮やかさ)には十分な注意を払っています。

そのように考えると、『無彩色(=ニュートラルカラー)』が最も万能選手のようにイメージされることが多いのですが、特に自然景観との関係性で色を見ていくと、彩度0の無彩色が人工的な印象が強調されすぎる場合が多い様に感じています。これまでの仕事を振り返ってみても、N-○○で色指定をしたことは僅かしかありません。

下の写真は、その理由を模式的に表したものです。左は彩度0のグレー系、右は彩度1.0程度以下のやや黄赤味を帯びたウォームグレイ系です。



例えば自然の石なども、一見無彩色に見えても実はほのかに色味を持っていることが殆どです。また、自然物は人工物やその塗装面と異なり、表面に凹凸があったり湿気を含んでいたりしますので、塗装色以上に、見方によって微妙に変化する色であると言えます。

こうした環境との調和を考えると、彩度を排除した無彩色は確かに控え目な印象を持っているものの、“周囲にあるものとの馴染み易さ”という観点で見た時、むしろ人工的で硬質な印象が強調されてしまっている場合が多いのでは、と感じています。

上の写真では自然景観を背景とした例を挙げましたが、これは例えば都市部のオフィス街などでは無彩色の場合がふさわしい状況もあると思います。色の持っているイメージや性質だけを取り上げ単独で判断せずに、常に周辺との関係性やその場の雰囲気に合せるべきであると考えています。

このような微細なこだわり、“どっちでもそんな変わらないのでは?”と言われることもしばしば。ですが、例えば建築物と舗道とストリートファニチャーと街路樹とサイン…等、私達の周りには実に様々な要素が複雑に絡み合って存在しており、それぞれが少しずつ“そのまちの雰囲気に歩み寄る”ことを考えて行けば、その配慮がもたらす効果は必ず“特に違和感のあるものがなく、自然やまちが生き生きと感じられる心地よいまとまり”として表れてくると思っています。

無彩色とカラード・グレイ、更に低彩度の間には、かなりの巾があります。ですから、“彩度を下げて環境に配慮しました”というとき、常に“どのくらいか”という数値的な押さえが必要だと思うのです。
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