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補色同士を混色してつくるグレイ

2010-12-06 20:53:59 | 色彩デザインのアイデア
色を正確に伝達するために、様々な色のものさしがあります。日本で1958年に採用されたマンセル表色系は、普及率も高く、色を3つの属性(色相・明度・彩度)で表す標準システムとして広く産業界・色彩関連学会等で活用されています。

しかしながらマンセル値を見ただけでは、慣れない人はそれがどのような色であるか、中々想像がつきにくいと思います。かといって、例えばJISの慣用色名等もある表現をするための助けとなる便利なシステムですが、色数はわずか269色。日塗工の塗料用標準色見本帳の最新版には656色もの色が収録されていますから、多様な色の表現や選定には物足りなく感じることがしばしばあります。

この他にもDICの“日本の伝統色”等もデザイン業界では一般的に使われているのではないでしょうか。ここには300色が収録されています。
ですがここでも、求める色が足りない…と感じることがしばしばです。それは決して、いたずらにオリジナリティの表現に拘っているわけではありません。建築や工作物の基調色に使いやすい、ごく低彩度の色彩が十分なラインナップになっていない、ということに他なりません。

曖昧な色、が近年益々気になります。何色とも言いがたい、例えば“少し青みがかった”とか、“ほんのり薄黄味を感じる”などの微妙な色合い。自然の四季や時間の変化つくり出す、現象のような儚い色…。

などという事を考えていたら、今からかれこれ20年以上も前、大学の色彩学の課題で作成した以下のようなカラースケールを思い出しました。



“補色同士を混合するとある一点が限りなくニュートラルに近づく”。
色材はポスターカラーを使っていたと思います。2色しか使ってはいけませんから、まず完全な補色の関係にある色を選ぶことが重要です。黄に少しずつ紫を加えて行き、いい所まで彩度が落ちたなと思っても、中々赤みが消えない。その際は、紫が赤紫に寄っている、ということです。その色だけを調整するなら、赤の補色である緑を少し加えればいいのですが、そうするとその前後の色と微妙に色相がずれ出します。慣れてくると色相は相当微妙なところまで判断できる用になります。

それは混色して試して見なければわかりません。更に、最終的に11段階の均等なグラデーションにするためには、その倍以上の色票を塗っては乾かしという作業を繰り返し、沢山の色票を並べて均等に調整しなければなりませんでした。

…今思うと随分根気のいる課題を行っていたな、とちょっと懐かしくなります。

これはそれを思い出して、Illustratorというソフトのブレンドツールという機能を使って、僅か10分程で作成したものです。

まだ完全なニュートラルにはなっていませんが、かなりいいところまで来ていると思います。右から5番目なんか、上品な印象でいい色ですねえ(笑。この、補色の関係にある2色を混合してつくったグレイ。少しずつ色相を変えて行くと、様々なニュアンスのあるグレイが出来ます。全くの無彩色と比べると、ほんの僅かに色味のあるグレイというのは何とも表情が豊かに感じられますし、色々な他の材料により馴染みやすくなると思っています。

以前にもこの例えを書きましたが、日本酒を使った料理には日本酒が合うように。背景の色をほんの少し加えたり、反対の色相のグレイを組み合わせることにより僅かに色味を感じさせたり。色彩の現象性を生かすということにとても興味を持ち、色々なアプローチを試みています。

対比があって際立つということと、あたかもそれが拒絶反応を起こしているように見えることは紙一重なのだと思います。その危機を回避するための手法として、僅かに曖昧にしておく。後でどうとでも受け取れる、あるいは周りの色が多少変化しようと、それを許容して尚存在感を放つような、懐の深さを持っている…。
曖昧な色にはそんな力があるのではないか、と考えています。
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