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基調色にふさわしい色の考え方

2011-05-16 22:14:44 | 色彩基準の意図するところ
慣用色、という言葉があります。建築の外装色として見慣れている色、長く慣れ親しんできた色という意味で用いています。もちろん建築物の規模や用途により、そのふさわしさの範囲には緩やかな幅があると思います。

色彩的な調和の取れた、穏やかで落ち着いたまちなみを、という方法論に対し、“統一しすぎると単調でつまらなくなる”或いは“個性が無くなる”と言われることもよくありますが、だからといって色彩が無秩序のままでは個性を競う・引き立てあうことすら、叶わないのではないかと考えています。

【建築の慣用色の範囲を超えた鮮やかな外装基調色】


こういう建築物を見て、やはり最初に感じるのは『す、すごい』という感情です。派手でよく目立ちますし、よくここまで思い切れるなあとも感じます。

おっと、『私はここまで強い色は使わないから大丈夫』と思われた方。ここで次の問題は、“もしも私が設計した住宅の隣にこのような色彩の建物があったなら”ということもお忘れなく。どうですか?途方に暮れませんか?

でも一方ではこのような色が外装色として“絶対に”成り立たないのかと問われると、それは必ずしもそうではなくて様々な条件をきちんとクリアすることが出来れば、常にその可能性はある(=余地を残しておいた方が良い)とも考えています。

そのための条件とは、

(1)周辺環境(自然景観を含む)との色彩的な調和が形成されていること
(2)時間の経過に耐え、建築形態及び意匠にふさわしい仕上げ(素材)が選定されていること
(3)建築物の用途や規模にふさわしい主張の仕方であること
(4)或いは、地域のランドマーク的な存在として多くの市民が認める存在であること

が挙げられると思います。景観計画を策定し色彩基準を持っている自治体ではこのような条件に加え、基準を大きく超える色彩についてはその必然性を審議会等が認める場合、という項目が加わる場合が殆どです。

様々な地域で色彩基準が策定されてきたため、上記のように著しく景観を阻害する要因となりやすい色の出現は低減しつつあります。主張の強い色彩は周りの色彩と馴染みにくく、建物が持つ性格(用途や特性)を超えて、単に色を纏った物質としての存在感だけが強調されやすいという側面が一番の問題点ではないでしょうか。

主張の強い色彩は一時的な新しさや既存の環境に対しての刷新性を感じさせるかもしれませんが、同時にすぐ飽きられたり古びた印象を与えたりする可能性も高く、本当に扱いが難しいと思います。

また、以下の写真は明らかに色そのものではなく、組み合わせにおいての色彩的な不調和が違和感の要因となっている、と感じます。寒色系の基調色に対し、暖色系の屋根は色相の差異が大きく対比を強めています。どうしてもこのような外装色を使用したい場合は、基調色にふさわしいように彩度を抑え、屋根色もニュートラルグレイ~寒色系の低彩度色とし、全体の色彩調和を意識すべきだと考えています。



それがどのような状態を示すかは、また後日…。
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