環境色彩デザインを考える人へ

長年の経験と実践の中から、色彩デザインに役立つ情報やアイデアを紹介して行きます。

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設備や橋の色の判断基準について

2011-10-04 22:02:20 | 日々のこと
普段は都内や近郊の建築物の色彩計画に携わることが多いのですが、近年いくつかの市区でアドバイザーや審議会の委員などを務めさせて頂くようになり、公共施設や道路設備・工作物等の色彩について意見や判断を求められることが増えつつあります。

環境を構成する要素は建築物だけではありませんから、身の回りの色は常に気になる存在です。何処かへ出かける度、仕事でなくてもつい職業的目線で周囲の風景を見まわして比較や検証を行ってしまう点は、どうやらスタッフ一同に共通しているようです。私も先日友人に『色オタク』と言われ、えーっと思ったのですがまあ確かに…と多々思い至る部分が多くあります。

先日とある仕事の関係で山梨県内を車で案内して頂いたのですが、甲府~富士川周辺を見ている際に2つのことに目が行きました。一つは下の写真にある防護柵(ガードレール)の色。平成16年に策定された『景観に配慮した防護柵の整備ガイドライン』の中で指定されている、グレーベージュ(10YR 6.0/1.0)が使用されています。周辺の山々はこれから紅葉の時期を迎えると思いますが、色鮮やかな自然の変化や移ろいがより印象的に感じられるのではないか、と思いました。



ブドウ棚を見下ろす山の中腹へ向かう際には、下の写真のように防護柵の色が途中で切り変わり、白との対比を比較して見ることが出来る場所がありました。もちろん比較を見せるためではなく、徐々に景観になじむ色に切り替わる途中の段階なのだと思います。



特に自然環境の中では、明度の高い白はとても対比的で、ラインの連続が人工的な印象を助長しているように感じられました。景観という観点において何を優先し何を引き立てるべきか、歩行者・運転者の安全性にも配慮しつつ、その場ごとの判断を行っていく必要があると考えています。

富士川にかかる幾つかの橋の色も気になりました。下の写真は走行中の車内から撮ったものなので少しピントが甘いのですが、落ち着きのある低明度色(恐らく3.5~4.0程度)が山並みに溶け込んでおり、周辺の環境と一体的でとても良いなと感じました。



ところが、一緒に見ていた方の中には別の意見をお持ちの方もいらっしゃいました。

『せっかくトラス橋なのに、少し重々しく感じられる』

たしかに、どんよりと曇った日や夜間はそのように感じられる一面もあるかも知れません。また、視点場を変えた時、明るい空が背景となる場合等は少し対比的に見えることもありそうです。また先日、土木デザインを専門とする青年にこの話をしてみたところ、

『必ずしも視覚的に軽く見せようと思ってトラス(構造)を採用するわけではありませんからねえ…』

という意見を頂き、これにはちょっと驚いてしまいました。構造の専門家には怒られそうですが、構造デザインという時、私がもし橋をデザインすることになったら、間違いなく見た目のあるべき姿を優先して構造のタイプを選択してしまうように思うからです。

構造の話も含め、どのような場合もプラスとマイナス、環境の色はそれぞれのベクトルを持っていると考えています。どちらか一方の見方、例えば徹底的に景観だけを重視すると、安全性に劣る場合があるかも知れませんし、情報機能を過剰に優先すると周辺環境や場の特性から著しく突出した見え方になってしまう可能性があります。

美的な調和を感じさせる色彩の組み合わせ、ということが色彩デザインの基本中の基本ですが、単体の美しさばかりに囚われ過ぎないよう、常に周辺の環境を加味した上での判断を行う必要があります。その判断の基準をもう少し一般的に出来ないかと考え、チェックリストのようなものをつくってみようとあれこれアイデアを練っています。完成の折にはもちろん、このblogで紹介しますので、“検討の際のたたき台”として多くの方に活用して頂きたいと思います。
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