環境色彩デザインを考える人へ

長年の経験と実践の中から、色彩デザインに役立つ情報やアイデアを紹介して行きます。

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周辺の色が変わるということ

2011-01-13 16:58:09 | 色彩指定のポイント
環境色彩デザインにおいては、常に周辺との関係性における色の見え方、を総合的に検証することが重要であると考えています。屋外環境においては、常に周囲の風景は変化すると言っていいでしょう。季節によって植物の色が変化し、一日の中でも時間の変化(=光の変化)により、色彩の見え方は相対的に変化すると思います。

ですから、ある対象に使用されている色が、周辺の環境の変化によりどのような見え方をしているかということを常に観察してします。竣工した物件についても、晴天の時に美しく見える写真を撮影することはもちろんですが、出来るだけ機会を見つけては季節ごと、或いは曇天時等でも記録するようにしています。

これは一昨年竣工したとある自然公園の中にある、水性物館です。外装の改修に伴う再塗装のために、色彩検討・提案を行いました。既存の色彩は“水生物”ということで、鮮やかな明るいブルーでしたが、周辺の木々の緑が立派に成育し、四季折々印象的な風景が形成されていることから、YR(イエローレッド)系の低彩度色に変更することとしました(指定色:10YR 6.0/1.5)。

【2010.04.25撮影】


上の写真では背後の背の高い樹木が芽吹き始めた新緑であること、またエントランス周りの中木の新芽が赤色で、少し特徴ある樹木が植えられていることがわかります。新緑の明るい緑が、穏やかな春の訪れを感じさせます。一方、下の写真は約四ヶ月後の真夏時です。全体に緑が濃く茂り、いかにも木陰が涼しそうな雰囲気です。

【2010.08.16撮影】


こうした場所では特に、建築物や工作物がどの程度の主張の度合いを持つべきか、判断に悩みます。多くの人が訪れる施設ですから、親しみやすさやある種のシンボル性が必要な場合もあります。この計画の際は周囲にこれだけの緑量を持つ自然公園内であることを考慮し、植物が持つ豊かで繊細な色の変化がより印象的に映える環境の形成を目指すこととしました。

建築や工作物の色彩は一度竣工したら数年~数十年、変わることなくその場にあり続けますが、時間や季節が移り変わることにより、相対的に見え方が変化するということを意識すると、変化する周囲の環境に“演出は任せる”というような考え方も大切だと思っています。そのためには、周辺の環境の変化の巾を知ることが重要です。光の変化による陰影の出来方、常緑樹・落葉樹の色の変化など、普段まちを歩く際はそうした点にも留意しています。
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